ウクライナ戦争で急浮上!日本の「徴兵制復活」これだけの可能性

 現在も世界60カ国以上で導入されている「徴兵制度」。日本でも1873年に「徴兵令」として導入され、太平洋戦争で敗戦を迎える1945年に廃止するまで行われていた。

 冷戦終了後は世界的に廃止の流れに傾いていたが、ウクライナでは2014年にロシア軍がクリミア半島を占拠したため、前年に廃止した徴兵制を再導入した。また、ロシアの脅威を理由に、バルト三国のリトアニアが2015年に、スウェーデンも2018年にそれぞれ復活させている。

 また、フランスではテロの脅威などを理由に16歳以上の男女に1カ月以上の兵役を課す「普遍的国民役務」を段階的にではあるが2019年から始めた。

 そうした中、ネット上では「日本の徴兵制再導入」の可能性についてさまざまな発言が飛び交っているのだ。

 確かに《その意に反する苦役に服させられない》と定めた憲法18条の「苦役」には徴兵制も含まれると解釈され、故・安倍晋三元首相も総理時代に「徴兵制は憲法違反」と断言している。だが、荒唐無稽な話として済ませることもできないようだ。

「あくまで解釈であって明文化されていない以上、導入は不可能ではないと考えることもできます。現在はウクライナ戦争によって国際社会が混沌としており、当時と状況が違います。日本に限って言えばまだ平和ですが、ロシアをはじめ、北朝鮮や中国など、海を隔てた隣国には潜在的な危険がありますからね」(軍事ジャーナリスト)

 ただ、ひと口に徴兵制といってもイスラエルのように男女を対象とした国民皆兵を採用する国もあれば、韓国のように全男性の兵役を義務付けている国もあり、制度の中身は国によって大きく異なる。

「人口減少の加速化が確実視される日本で今後起きてくるのが自衛官不足。これを理由に徴兵制にかじを切る可能性は否定できません」(前出・軍事ジャーナリスト)

 徴兵制に関する質疑や議論はこれまでにも多くなされており、その度に政府や与党は導入を完全否定してきた。果たしてネット上で飛び交う「徴兵制度復活」が、「ウクライナ情勢がもたらした一時的な気運」にとどまるのか、それとも…。

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