今年の干支はうさぎということで、ペットとしてのうさぎが人気だという。産経新聞がその人気ぶりを紹介、記事の中でうさぎ専門の某ペットショップの売り上げを紹介していたが、それによると20年は前年比21%増で21年は7%増、22年の上半期は数字も落ち着いて3%減だという。
この数字を見て分かる通り、うさぎ人気は既に以前からあって、それはやはりコロナ禍でのペットブームによるもの。だからこの3年間ほどの流行ということになるのだが、特に今年は干支の動物ということもあって、さらに人気が後押しされるかもしれない。
だがペットブームが起きると必ず指摘されるのが飼い主の責任の問題。見ためのかわいさと実際に動物を飼った時の扱い方の困難さにギャップが生じるからだが、ペットとしてのうさぎブームの陰で既に問題は生じていた。
「昨年はうさぎの多頭飼育崩壊と遺棄が相次いで報じられました。神奈川県で30代の夫婦が2匹のうさぎを飼い始めたところ、わずか2年ほどで200匹以上にまで増えてしまい、飼育が崩壊しました。また滋賀県では無職の男女がうさぎを飼い始めたものの、うさぎが『言うことを聞かなくなって世話が大変になった』として虫カゴに入れて駐輪場に放置して遺棄、動物愛護管理法違反で書類送検されるという事件が起こりました」(全国紙記者)
いずれも飼い主のエゴと無責任感ぶりが伝わってくるが、犬や猫に比べてよく「うさぎは飼いやすい」と言われることから安易に飛びついたのだろう。今年の干支としてブームが広がれば、似たような事態がすぐにも発生しそうだ。
そんな中、「うさぎは飼いやすい」という俗説に警鐘を鳴らすのが、うさぎ飼育歴20数年のイラストレーター・南兎さんがツイッターにアップしている漫画だ。まさに今年に起こりそうなうさぎブームに先駆けて、昨年、〈「来年うさぎ年だし、うさぎ可愛いし、最近人気で飼いやすいって聞くし、うさぎさんお迎えしてみようかな〜」と思った方に知っておいてほしいこと〉というタイトルの漫画は3万リツイートを呼んだ。そして、うさぎは何でもかじるし、抱っこを嫌う個体が多いこと、病気で頼れる動物病院が少ないことなど、うさぎを飼うことの困難さを指摘している。
確かにうさぎは大人しいイメージばかりが紹介されやすく、飼育に関する情報はあまり目にしない。大人しいだけに逆に飼うため前には覚悟が必要とも言えそうだ。
(猫間滋)