2023年ニッポンを襲う危機(5)「台湾有事→米中対戦」で日本が戦場となる現実味

 2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻。当初はロシアが短期間でウクライナを制圧するとの予測もあったが、ウクライナが予想に反して善戦を見せ、ロシア軍を著しく疲弊させている。

「ロシアによるウクライナ侵攻が始まり1年が経とうとしていますが、ここに来てプーチン大統領は『目標は戦争を終わらせることであり、いまも目指している』と停戦に言及し始めています。ただし、ウクライナ東部4州の独立とウクライナの非軍事化という前提の旗をおろしておらず、条件交渉で一歩も引く気はない。どころか、1月の大規模攻撃すら予想されています。一方のゼレンスキー大統領もウクライナの完全勝利を求めており、歩み寄る気配はありません。それぞれクーデターでも起きない限り停戦はないと見られており、泥沼の状況が続く可能性が高いと考えられます」(軍事ジャーナリスト)

 不安定な世界情勢が続く中、次に懸念されるのが台湾有事だ。習近平氏は昨年10月、国家主席の3選を果たした折、台湾統一について「必ず実現しなければならないし、実現できる」と公約に掲げた。対するバイデン米大統領は「台湾を中国から守る」と宣言。昨年12月に米連邦下院で台湾に対する1.3兆円の巨額の軍事支援を盛り込んだ法律が成立すると、中国は台湾周辺で軍事演習を行うなど、両国の緊張は一気に高まっている。

「台湾有事が発生してアメリカが介入すれば、当然、同盟国の日本もは他人事では済まされなくなります。アメリカの拠点は在日米軍基地になりますから、反発した中国が日本国内の米軍基地を攻撃する可能性も出てきます。つまり日本が戦場になるということ。そこまではいかなくとも、台湾で紛争が始まれば船舶の輸送航路は大混乱し、石油のほとんどを中東から輸入する日本は大きな影響を受ける。そうなればエネルギー価格はさらに跳ね上がり、国民生活に打撃となることは間違いありません」(前出・軍事ジャーナリスト)

 戦後最大の危機に晒されるかもしれない。

(小林洋三)

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