独走・巨人の投手陣から「上原カムバック」の声が出る理由

 引退したレジェンドの名前が囁かれている。

 原巨人のマジックナンバー点灯が間近だ。2位横浜DeNA、3位中日の戦況次第という条件付きだが、巨人は、チーム打率、得点、本塁打数において、全てリーグトップである。チーム防御率も良化しており、“ペナントレース終了”は、時間の問題だろう。

「弱点と言われた救援陣ですが、マシソンが帰って来て、大竹、田口を配置換えし、それなりの厚みを見せてきました。セットアッパーの実績が十分の鍵谷をトレード補強し、ここに新加入のルビー・デラロサが加わります。最後は中川に繋ぐパターンも確立しつつある」(スポーツ紙記者)

 だが、補強されたように見える救援陣は、やはり弱点を抱えていた。特定のピッチャーの連投によって支えられているからだ。球宴前、田口は5連投となった。また、前半戦最後の阪神戦、原辰徳監督はマシソンを試合出場のベンチ入りメンバーから外している。「オマエさんがいると、使いたくなるから」と試合前に説明したそうだが、実情は少々違うようだ。

「6月に一軍昇格し、右内転筋肉離れも負いました。これ以上無理をさせれば、後半戦で投げられなくなってしまいます。コーチ陣がマシソンを休ませるよう進言したんです」(球界関係者)

 救援陣はフル稼働である。鍵谷、デラロサを加えたが、大竹、田口の先発要員も救援待機は続く。リリーフ陣の総力戦はこれからも続くというわけだ。

「大竹、田口は先発で結果を残せなかったので生き残るため、必死に投げると思います。気になるのがクローザーを務めている中川です。経験値はゼロに近く、新加入のデラロサがそれに取って代わるのか…。ペナントレースが残り30試合を切ったら、菅野か山口をリリーフにまわすとの情報も交錯しています」(同前)

 総動員となりそうだ。そのせいだろう。ペナントレース序盤に引退した上原浩治の名前が聞かれるようになった。巨人帰還後の上原は「どこでもやる」と“便利屋”を自称していた。自身の年齢的衰えもあったわけだが、自己犠牲の精神は若い投手を守る意味合いも含まれていた。

 優勝カウントダウンを目前に、総動員となった巨人投手陣。彼らが上原を懐かしく思うのは当然か…。

(スポーツライター・飯山満)

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