インドネシアで「婚外交渉禁止法」が成立! 観光客と駐在員は要注意

 宗教によってはタブーとされている婚前交渉。なかでもイスラム教では「ズィナー」と呼ばれる重罪行為で、教義を厳格に守る中東の国では死刑になったケースもある。

 一方、同じイスラム圏でも比較的寛容と見られていたインドネシアでは、今月6日に議会で「婚外交渉禁止法」が成立。施行は3年後だが最大で禁固1年の罪に問われる。

「実は、同国でもスマトラ島北部のアチェ州だけは以前からアラブ諸国のようにシャリア(イスラム法)が適用されており、これまでも婚外交渉を行った男女がたびたび鞭打ちの刑に処されています。刑罰の中身こそ違えど、全土に適用される法案を通したわけですからインドネシア政府はそれだけ本気と言うことです」(元ジャカルタ特派員)

 イスラム圏の中では数少ない政教分離に基づく国家運営をしていた国だったが、近年は宗教色を強めており、今回の婚外交渉禁止法の可決もその象徴的な出来事といえる。

 ただし、ポイントは外国人にこの法律が適用されるのかについて。当初はそこに関する言及がなかったが、12日になって同国のエドワード・オマル・シャリフ・ヒアリエジ法務次官が「外国人観光客がこの法案で訴追されることはない」と発言。だが、まだ安心するのは早いという。

「厳密にいえば外国人にも適用可能です。しかし、ジャカルタやバリ島は、東南アジアでも有数の性サービス産業が盛んな土地。それを目当てに訪れる人も少なくありません。理論上はこれも違法ですが、適用されたらコロナ禍で減った観光客はこのまま戻らなくなります。とはいえ、法案に〝外国人は適用外〟と盛り込まれることはあり得ない。さらに言えば、外国人にも厳格に適用すべきと主張する政治家も一定数いるため、解釈を変更する可能性がないとは言い切れないんです」(前出・元特派員)

 解釈が変われば、恋人同士でも法に触れることになる。実際、17年にはドバイで日本人カップルが婚前交渉で逮捕されたケースもある。

 日本人にも決して他人事ではないため、最終的にどのような運用になるのか気になるところだ。

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