バルセロナの連覇で幕を閉じたリーガ・エスパニョーラにおいて、善戦したのがエスパニョールだ。下馬評は低かったが、終わってみれば7位。その躍進の原動力となったのが、中国の天才プレーヤー、ウー・レイだ。そのウー・レイが欧州に莫大な経済効果をもたらし、Jリーグにもその影響が及びそうだという。
「1月下旬、中国リーグから移籍しましたが、欧州のサッカーファンはあまり期待していませんでした。14歳のときに中国でプロデビューし、AFCで過去2度、最優秀選手賞に選ばれているので、コアな日本のサッカーファンはウー・レイのことを知っていたと思います」(スポーツ紙記者)
ウー・レイのスペインデビューは鮮烈だった。1対2で迎えた後半途中、いきなり同点ゴールを決めてみせた。その後もMFとして出場し、インパクトの強い活躍を続けた。
その影響だろう。「ウー・レイを観たい!」とする中国のサッカーファンが有料衛星放送やインターネットで試合を視聴。中国ファンの視聴者は2500万人以上とされ、中国マネーが欧州サッカー界に舞い込んできたのだ。
「金額は公表されませんが、ウー・レイはカネの雨を降らせたと伝えられています。欧州は『中国は日本よりもレベルが低い』としていましたが、今では対等に見ています」(特派記者)
一時期、中国リーグが巨額な資金源を元手に欧州の有名選手たちを獲得していた。生活や文化の違いから、有名選手の中国リーグ入りは止まったものの、ウー・レイの出現で「クラブで海外遠征するならば、中国のほうが儲かりそう」なんて声も出始めた。
「中国リーグが再び欧州からの選手獲得を始める話もありますし、中国視聴者の獲得のため、欧州チームが第2のウー・レイを探しています」(同前)
そうなると、日本のJリーグは蚊帳の外だ。巨大マネーを手に、欧州各クラブが中国と手を組んでアジア市場に乗り出せば、「身の丈経営」を方針とするJリーグは太刀打ちできない。対抗できるとすれば、元スペイン代表のイニエスタ、ビジャの獲得に成功した三木谷浩史オーナーの神戸ぐらいか。
いずれにしても、欧州の中国旋風はJリーグにとっても脅威となりそうだ。
(スポーツライター・飯山満)