サムスン「折りたたみスマホ」でiPhoneにマウントを取りに来る「切実な理由」

 11月3日、韓国のサムスン電子が公開したスマートフォンのプロモーション動画「On the fence」が、米・アップル社のiPhoneの性能を煽るような内容だったことで、話題になっている。

 動画は、男性がAppleストア風の店から壁をよじ登って向こう側に行こうとするシーンから始まる。それを見たiPhoneを持つ店員が「そこで何をしているの?」と尋ねると、男性は「サムスン側には折りたたみスマホと革新的なカメラがある」と答え、壁の向こう側へ行こうとする。それを聞いたiPhoneを持つ客の女性が、「折りたたみスマホですって?」と反応。これに店員は慌てた様子で、「そちらに行かなくてもここで待っていれば問題ない」と話すが、男性は「なぜ?あちらにあるのに」と疑問を呈するのだ。そこに〈壁を乗り越える時が来た〉という字幕が表示され、同社のGalaxyの折りたたみスマホが紹介されるといった内容だ。

 ただ、この動画にネット上では、《折りたたみスマホでマウント取るの?》《折りたたみスマホ、そんなに需要あるのか》《iPhoneに対する優位性はそこ!? ライトニング端子とか指紋認証がないとかイジるべきところはもっとあるだろうに》など、「折りたたみ」自体には優位性がないと指摘されているのだ。

「調査会社『Canalys』の報告によると、2022年第3四半期の世界のスマホ出荷台数の首位はサムソンで、22%のシェアを占めています。しかし、2位のアップル社のiPhoneも前年同期よりシェアを伸ばして18%と肉薄してきている。そんなこともあってか、サムソンは最近やたらとiPhoneを意識したプロモーションを行っているようです。しかし、調査会社『TrendForce』によれば、22年の折りたたみスマホのシェアはスマホ全体の1.1%ですからね。折りたたみスマホがあるからサムソンに乗り換えようという人はそれほど多くないと見られています」(ITジャーナリスト)

 サムスンがまず乗り越えるべきは、折りたたみスマホの「不人気」という壁なのかもしれない。

(小林洋三)

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