FA残留の意思表示が早過ぎた?阪神「岡田式査定」で西勇輝のプライドが…

「改造」は二遊間だけではないようだ。岡田彰布監督は先発投手陣のテコ入れも視野に入れていた。

 日本シリーズが終了し、フリーエージェント権の有資格者が権利行使する申請期間が始まった。10月31日からの10日間となるが、去就が注目されていた阪神・西勇輝は権利行使せず、「残留」となるようだ。

「複数年契約を交わしていた西の推定年俸は、2億円プラス出来高。前回、権利行使して阪神に移籍してきたときは『4年契約』でした。来季32歳で開幕戦を迎えるのを考えると、残留の条件は契約年数ではなく、年俸額で西に譲歩するのではないかと予想されています」(在阪記者)

 4年間で36勝、全て規定投球回数に到達した右腕は貴重だ。

 しかし、岡田監督は先発投手陣に対して“独自の評価基準”も持っていた。

 昨今の岡田監督は関西系メディアやローカルTV局に引っ張りダコ。そうした場で来季のチーム構想を訊かれるのだが、10月28日オンエアの「熱血!タイガース党」(サンテレビ)に出演した時は、先発ローテーションについて、こう語っていた。

「2桁勝てる投手は、せめて3人は欲しいわな」

 そして、番組が用意したトラ投手陣の勝敗表を見て、

「ガンケルとウィルカーソンで10勝か? でも、貯金はないんだよな」

 この両外国人が退団することで、「来季の先発ローテーション6人は誰になるのか」という質問については口を濁したが、終始繰り返していたのが「貯金」という言葉。「貯金」とは当然、勝ち星から負けた数を引いた数値だが、岡田監督が投手に対してこれを重視していることは強く伝わってきた。
 
「西は青柳に次ぐチームの勝ち頭です。その西と同じ9勝を挙げているのが、伊藤将司」(前出・在阪記者)

 西の今季の成績は9勝9敗。伊藤は9勝5敗だ。“岡田査定”では、同じ9勝でも、西は貯金ゼロ、伊藤は貯金4となる。また、2年連続最多勝の青柳晃洋は13勝4敗で「貯金9」だから。文句ナシのエース扱いとなるが、ナンバー2は伊藤となるわけだ。

 阪神残留に前向きと言いわれる西のプライドは? 新・先発ローテーションの編成でひと悶着が起きなければいいのだが…。

(スポーツライター・飯山満)

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