1ドル180円予測も!未曾有の円安で「外貨両替所」に行列ができている

 10月14日に1998年の1ドル147.66円の円安を突破したと思ったら、20日には150円台も突破。27日にはアメリカの利上げのペースが緩むとの観測が広がったことから一時145円台まで戻したが、中長期では円安のトレンドは収まりそうにはない。

 すると都内の外貨両替所では円をドルに換える人で行列が出来るほど賑わっているのだという。

「以前に円をドルに換えたまま持っていた人は差額が儲かるということで並び、まだ円安が進むからと換える人は『もっと早く来ておくべきだった』とは思いつつも、まだまだこれからと換えにくるそうです。それはそうでしょう。日米の金利差があるのだから円安に傾くのは必然で、にもかかわらず黒田日銀は頑として金融緩和を止めないと言っているわけですからね」(経済ジャーナリスト)

 外貨両替所で円とドルを交換するのはいわば現物のFXのようなものだがそのFXはどうかと言えば、それは為替相場の変化が大きいのだからそれだけ利ザヤを稼ぐチャンスなのでこちらも当然賑わっている。

「日本人の個人が行う9月のFXの円ドル売買高が1000兆円を突破しました。単月では初のことで、1000兆円といえば銀行間の通貨取引にも匹敵するレベルの金額です。そこではドル買い・円売りの『順張り』とその逆の『逆張り』の双方の思惑が複雑に絡み合うわけですが、政府・日銀の介入によって『逆張り』で大儲けした人がいれば、そのタイミングを外して大損した人、概ねの流れ通り『順張り』で大儲けした人などが続出したようです」(同)

 いずれにしてもロクなことがないのが、日本に出稼ぎに来ている外国人だ。当たり前だが円が安ければその分日本に働きに来るメリットが低くなるので、本国に送金しない人もいるのだとか。現在、日本ではあらゆる産業が人手不足に陥っているが、円安が長期化すればするほどこれを補う外国人労働者は少なくなり、となると企業の人材確保に大きな支障が生じかねない。

 ではその供給源である東アジアの各国の事情はどうなのかといえば、こちらも通貨安に喘いでいる。

「フィリピンのペソ、タイのバーツなどは初年度比で10%以上も価値が下落していて、韓国のウォンに至っては20%も下落しています。ところが日本の円はこれらの比ではない25%の下落なわけで、東アジアの中でも特に落ち込みは激しいです」(同)

 訪日外国人のコロナからの回復もあって、巷では爆買いが復活している。円安は180円程度まで進むとの見方もあり、ただただ日本人は外国人に何でも買われるのを指を加えて見るしかないのか。

(猫間滋)

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