受信料未払い割増金が2倍に!「NHK分割案」も出た公共放送の存在意義

 NHKが受信料を下げるということで話題になっている。衛星放送で200円の値下げを最終調整中で、地上波も100円前後の値下げを検討しているのだという。

 これ自体は朗報なのだが、NHKもタダで転ぶつもりは全くないようで、同時に未払いの割増金は2倍取るというのだから、逆に人々から反感を買っている。

「NHKは10月11日に放送受信規約の素案を公表しましたが、それによるとテレビを設置しながら期限までに受信契約の申込みをしなかった場合に徴収できる割増金の倍数が『2倍』とし、23年4月からの運用開始とされているのです。今後は意見を公募してから案をとりまとめて総務省に認可申請する流れになります」(経済ジャーナリスト)

 これに対しネットやSNSでは、「2倍徴収ってマジでエグくない?」「な、な、な、なんだって。テレビ捨てようかな」「電波サラ金か」といった反発の声が多く上がっている。

 それはそうだ。NHKの本来の目的である「あまねく日本全国において受信できるよう」放送を行うという《目的》が形骸化し、バラエティーやドラマ、スポーツ番組などに多額の金額を突っ込んで「民業圧迫」が指摘されて久しい。しかもそれも潤沢過ぎる受信料があってのこと。

 加えて現在は、NHKが事業拡大を図りたいネット事業を「本来業務」とするかで、政治・行政・放送業界の間で利権の綱引き合戦が行われている真っ最中だからだ。

「総務省ではここ数年、放送業界の激変の中、NHKがどうあるべきかについて、『公共放送ワーキンググループ』という検討会を立ち上げて議論をしてきました。そして9月にはNHKのネット事業の在り方について考える検討会もスタートさせたところです」(同)

 さてその「公共放送ワーキンググループ」だが、意見を求められた識者からNHKの将来として、「若者は見ない」とされ、それでも「公共放送の維持は必要」だが、その在り方としてはNHKを「2分割」すべしと指摘されていた。

 イギリスではこの春からBBC(英国放送協会)の抜本的見直しに着手し、料金の加重制や広告収入を導入する案が話し合われている。先の識者が提示した「分割案」も、①「スリム化した公共放送(ニュース・天気予報・児童放送など)」と②「ドラマなど他のコンテンツ事業(選択的受信料、番販、広告収入)」に分けるもので英国の議論に近い。

 つまりは組織の抜本的改変が必要なのだが、そんなことはどこ吹く風で、損をしない値下げにネットでも勢力拡大を図ろうというのだから、全く時代に逆行しているとしか言えない。

(猫間滋)

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