ウクライナが領土奪還も…ロシアが他国工作「親露政党」へ巨額資金供与の波紋!

 ウクライナのゼレンスキー大統領がビデオ演説で、ウクライナ軍が9月初旬以降、「東部と南部の6000平方キロメートルを解放した」と明らかにしたのは12日夜のこと。

 さらに米軍高官も同日、ロシア軍が東部ハルキウ周辺から撤退。ロシア側に越境したとの見解を示し、ウクライナ軍が優勢であると伝えた。

「6000平方キロというと、ほぼ茨城県に匹敵する面積ですからね。これだけの領土をわずか2週間足らずで奪還したとなれば、ウクライナ軍の大きな戦果といっていい。ただ、12日に奪還を宣言したハルキウ州の要衝・イジュームの市議が語ったところによれば、今回の攻撃で、少なくともイジュームの市民1000人が犠牲になってしまったとのこと。ウクライナ軍参謀本部も、奪還した地域では『露軍による戦争犯罪が毎日200件ほど確認されている』と発表していますから、奪還はしたものの、街にもそこで暮らす人々にも、大きな傷跡を残してしまったことは間違いありません」(シャーナリスト)

 米情報当局の分析によれば、今回のウクライナ前進を導いたのは、長距離多連装ロケット砲など西側兵器を利用した「奇襲」で、これによりロシアの補給線や、弾薬庫、司令部を破壊。それが形勢逆転の大きなカギになったとされる。

 ところがウクライナ政府が戦果に沸く中、米主要メディアが13日、ロシアに関する仰天情報を報道し、世界に波紋が広がっている。

「ロシアが2014年以降、民主主義体制の弱体化やロシアに有利な世論形成を図るため、世界20カ国以上の政党や政治家などに対し、少なくとも3億ドル(約430億円)の活動資金を供与していたというんです。報道に対し国務省のプライス報道官は、ロシアの秘密資金提供疑惑を『主権への攻撃』としていますが、別の政府高官は『これは氷山の一角に過ぎない』『ロシアは察知されない方法で、ひそかにさらなる資金を送っている可能性が高い』と述べています。日本では自民党議員が旧統一教会から組織票や選挙協力を受けて民主主義がゆがめられたと問題になっていますが、こちらは民主主義自体をひっくり返そうとするもの。まさに他国の主権を揺るがせにする行為です」(同)

 ニューヨーク・タイムズ紙によれば、アジアの某国ではロシア大使が大統領候補に現金数百万ドルを提供していたことが確認され、欧州でもロシアのビジネス関係者が極右政党支援のため、親ロシアの調査研究機関を利用しようとした例もあった、と報道。

 またAFP通信も、ロシアが2017年のアルバニアでの選挙で、特定政党を支援するために約50万ドルを支出。ボスニア、モンテネグロ、マダガスカルでも、ロシアが政党や候補者に資金提供をしたという政府関係者の証言を伝えている。

「米情報当局の調査結果により、ロシアはウクライナへの直接的な軍事行動で政権転覆を狙う裏で、20カ国以上に対しても継続的に民主主義への攻撃を行ってきたことが明らかになったわけです。ロシア側は否定していますが、このような機密情報が漏れ始めたことも、プーチン大統領の求心力が低下している証拠かもしれません」(同)

 兵力と武器の枯渇により北朝鮮に支援を求めているというロシアだが、世論操作工作が明らかとなり孤立化は進むばかりだ。

(灯倫太郎)

ライフ