台湾海峡大橋「ゴリ押し工事」で懸念される「中国の台湾上陸」カウントダウン!

 現在、中国政府が着々と整備を進める高速鉄道網は、東北部のハルピンや西部のウルムチ、ベトナム国境に近い海南島など含む中国全土を網羅。総距離は21年末時点で4万キロを超え、現時点ですでに世界一の規模となっている。

 現在も各地で工事が進められており、20年8月に発表された「交通強国鉄道先行計画綱要」によると、35年時点の総距離はじつに7万キロ。その中には中国側が同年までの開通を目指す本土〜台北の高速鉄道も含まれている。だが、当然ながら台湾政府は合意していない。

「それでも中国政府はお構いなしと言わんばかりに13年から工事を開始しました。現在は本土から最も台湾に近い平潭(ビンタン)島を結ぶ、全長16.34キロの『平潭海峡道路鉄道併用大橋』が完成済みで、昨年末から高速鉄道の運用も始まっています」(中国在住ライター)

 平潭島から台湾まではまだ120キロの距離があるものの、中国はここで頻繁に軍事演習を行っており、中台関係の緊張状態を象徴する海域となっている。このような状況で本当に完成などありうるのだろうか。

「通常に考えればあり得ませんが相手は中国。今後もなりふり構わず工事を進める可能性は高いです。そもそも中国は台湾を国家として認めておらず、一貫して自国領という姿勢を貫いていますので、自国に橋をかけるのがなぜいけないのかという理屈です」(前出・中国在住ライター)

 しかも習近平国家主席にとってこの台湾海峡大橋は、若いころから長年温めていた悲願とも言える構想だ。昨年、中国では「2035年に新幹線に乗って台湾へ行こう」などの歌詞が盛り込まれた「2035去台湾」という曲が大ヒットし、国民の間でも一大キャンペーンとして認知されている。

「典型的なプロパガンダですが政治的な話を抜きに考えれば、完成後は上海や広州からは3〜4時間、北京からでも7時間で移動が可能になる。おそらく、国内の高速鉄道と一緒で航空券より安く設定されるため、移動の足としては間違いなく便利にはなります」(前出・中国在住ライター)

 計画の実現には台湾の承認が不可欠なのだが、果たして中国はどう動くのか…。

ライフ