鹿島アントラーズ「常勝軍団の復活」を阻み続ける「これが元凶だ」!

 国内19冠を誇る名門・鹿島アントラーズが揺れている。

 チームの得点源である上田綺世がベルギーに移籍すると、21節の札幌戦から4試合で得点はわずか1。首位・横浜Fマリノスとの大一番では0−2で完敗した。

 8月7日には、ついにレネ・ヴァイラー監督が解任。監督就任からわずか6カ月での解任はクラブ史上最短となる。

 これまで外国人監督や助っ人外国人のほとんどがブラジル人という南米志向で常勝軍団を作り上げてきた鹿島。しかし、すでに国内のタイトルから5年も見放されている。そこで、南米路線から欧州路線に切り替えようと白羽の矢が立ったのが、スイス人のヴァイラーだった。

 コロナの影響でキャンプからチームを指揮することができなかったというマイナス面もあったが、ロングボールを駆使する縦に速いサッカーは、今の鹿島の選手たちに合っているのかという疑問の声も少なくなかった。

 現にブラジル人選手と、欧州から来た監督やコーチングスタッフとの間に溝ができていたという話もある。文句をいわない日本人の中にも疑問を持ちながらプレーしていた選手もいたと言われている。

 ただ、それ以上に問題だったのは今季の補強だろう。犬飼が浦和に、町田がベルギーと、センターバック2人が移籍。さらに左サイドバックの永戸も横浜FMに移った。中盤ではレオ・シルバ、永木、遠藤とチームを支えてきたベテランがチームを去った。

 これに対し、中盤から前は鈴木優磨の電撃復帰、さらに樋口(鳥栖)、仲間(柏)と即戦力を補強できた。ところが、センターバックはキム・ミンテだけ。開幕から先発したのはキム・ミンテと関川だったが、ミスが多く、結局、ボランチの三竿をコンバートさせて使わないと安定しなかった。そうした状況でありながらいまだにセンターバックの補強がなされない…。さらには、1日にヴァイラーの愛弟子であるFWエレケの獲得を発表した。だが、そのエレケの師匠は解任。なんともチグハグなのだ。

 一方、首位を走る横浜Fマリノスはどうだったか。得点王の前田がセルティックに、攻守の中心だった扇原が神戸に移籍。左サイドバックのティーラトンがタイに帰国し、キャンプ途中には守備の要であるチアゴ・マルチンスまで移籍した。それでもFWにアンデルソン・ロペス、西村(仙台)を補強、扇原の穴は藤田(徳島)、左サイドバックは永戸(鹿島)、センターバックにはエデュアルド(鳥栖)と的確に補強し、チーム力をプラスにしている。

 鹿島は黄金時代を知る岩政大樹コーチが監督に就任した。選手はもちろんのこと、強化スタッフ、フロントまでを同じ方向に向けさせ、強い鹿島を復活させることができるか。ファンはその手腕に大いに期待している。

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