「Netflix」会員数激減でも株価は上昇する「珍現象」のワケ

 米Netflixは7月19日、2022年の第2四半期決算(4〜6月)を発表。3月末時点から加入者が97万人減少して2億2067万人になったことを明らかにしたのだが、一方で同社の株価は時間外取引で7%以上も上昇するという珍現象が起きている。
 
「Netflixの株価が上昇したのは、予想よりも加入者の減少がはるかに少なかったためです。同社は22年第1四半期の決算で加入者が10年ぶりのマイナスとなる20万人の減少となったことを発表。さらに、第2四半期では200万人減少する可能性があると公表したことで、株価は21年秋に記録した最高値から70%以上も暴落する事態となっていました。これに一部アナリストからは『Netflixの時代は終わった』『第2四半期は加入者が400万人以上減少する可能性もある』との見方ありましたが、実際には97万人の減少ということで、第3四半期には100万人の増加という強気な予想も加わって株価が上昇したとみられています」(経済ジャーナリスト)

 なお、Netflixの加入者が減少した原因としては、「Disney+」や「Apple TV+」といった競合サービスが好調だったことや、コロナ禍で節約志向が高まったことなどが挙げられる。その一方で、減少が97万人にとどまった要因は人気ドラマである「ストレンジャー・シングス」のシーズン4が配信され、視聴時間10億時間超えの大ヒットを記録したことが大きいとされている。
 
 果たして、このままNetflixは巻き返すことができるのだろうか?
 
「米調査会社のレポートによると、第2四半期の97万人の減少のうち最も多かったのがZ世代(25〜40歳)の女性ということで、ジワジワと値上げされる料金プランを受けシビアに節約しようと考える人も多かったのでしょう。その対策として、Netflixは23年からMicrosoftなどと協力して広告付きの低価格プランを導入することを明らかにしています。ただ、低価格とはいえ有料で広告付きというプランがどれだけ受け入れられるかは不透明。ライバルであるDisney+も今年後半から同じく広告付きプランを導入する予定のため、そう簡単には巻き返せないかもしれませんね」(前出・経済ジャーナリスト)

 あとは、どれだけオリジナルのヒット作品を生み出せるかが勝負になってくるだろう。

(小林洋三)

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