11日の記者会見で、岸田文雄首相(64)が「偉大な政治リーダーを失ったわけだから影響がないとは言えない」と語った通り、参院選で圧勝した自民党だが、党内は混迷を深めることが予想される。
「94人と自民党最大派閥を誇る安倍派でしたが、今後は分裂が必至です。ナンバー2が不在で当面、塩谷立元総務会長(72)、下村博文前政調会長(68)、西村康稔前経済再生相(59)など7人で安倍派を維持するようですが、いずれも帯に短しタスキに長しで派閥の領袖とはなりえない。そこへ森喜朗元総理(85)が清和会元祖・福田赳夫元総理の孫・達夫総務会長(55)で若返りを果たすのがいいなどと横やりを入れ、跡目争いが激しくなっている。分裂して他派閥の草刈り場となるのは必至です」(政治部デスク)
求心力を失った派閥は分解するのみ。まさに隆盛を極めた「安倍一強」の弊害なのかもしれない。
「2度目の総理辞任後も安倍さんは元気を取り戻し、今回の参院選の応援演説では安倍元総理が遊説を行った候補は、行かなかった長野を除き全勝と、圧倒的な強さをみせていた。3度目の総理を目指していた可能性もあり、遊説では、聴衆との距離を『もっと縮めて』と言い、『森友』『加計』『桜を見る会』で失った信頼を取り戻そうとしているかのようだったのですが‥‥」(社会部記者)
華麗なる一族とは表向きで、内実、自身は病で2度退陣し、父は「岸の娘婿」と呼ばれて、総理の座を目前にして病に倒れた。祖父までもが、退陣直前に右翼に襲われるという悲運の一族だったとも言えるのだ。
「今回の事件では、親が宗教にのめり込み、破産した家族の〝カルト2世〟の問題が浮き彫りになった。貧困により就学できずにワーキングプアとなると、そのドン底生活から抜け出せなくなってしまう。もちろん憎しみの矛先は安倍元総理ではなく、宗教団体へと向かうべきだったのですがね」(藤倉氏)
しかし今でも、本当に単独犯であったのかどうかが疑われている。
「はたして一度に6発、計12発の弾丸を発射できる手製の散弾銃をどのようにして作ることができたのか。また、あまりにも冷静すぎる犯行も少し引っかかる。実は容疑者が、アメリカで設立されて日本にも支社がある統一教会の分派で、頭に弾丸を巻いて集会をするカルト宗教に在籍していたという説も出ている。ロシアがウクライナに侵攻し、北朝鮮がミサイルを連射する不穏な時代だけに、悪の枢軸が仕掛けた暗殺テロだったという背景は、いまだに拭うことができないのです」(ジャーナリスト)
憲政史のレジェンドを死に追いやった、謎多き事件。一刻も早い全容解明が求められる。一族の再興はそれからだろうか。
*「週刊アサヒ芸能」7月28日号掲載