習近平いわく「人類85%の非西側諸国の代表」 中露主導「BRICS」が急拡大か

 ドイツで開かれていた主要7カ国首脳会議(G7)が、28日閉幕した。

 今回のG7では、ロシア産石油の取引価格に上限を求めることが検討されるなど、対ロシアへの圧力強化が共同声明に盛り込まれ、さらには台頭する中国に対し、今後G7がどう対抗するかなどが焦点となったとされる。

 一方、アルゼンチンに次いで、27日にはイランが加盟申請したことで大きな話題となったのが、ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ新興5カ国が加盟するBRICSだ。

 BRICSとは、 低成長に悩まされる先進国に対し、高い経済成長率で推移している新興国が今後の世界経済のカギを握るとして、中露が中心になって生まれたプラットフォーム。

 しかし、ロシアによるウクライナ侵攻以降、中露と西側との対立が激化。現在は、完全に中露対NATO(北大西洋条約機構)、あるいは中露対「QUAD」(米国、日本、オーストラリア、インドの4カ国の安保協議体)という構図が出来上がってしまい、BRICSはいわば、米国の同盟外交に対抗する枠組みと位置づけられるようになった。

「今回のイラン、アルゼンチン両国の加盟申請はそんな矢先の出来事だったため、ロシアの外務省報道官は『我が国を孤立させる西側諸国の取り組みが失敗している証拠』とご満悦の様子。今後もこの対立構造が広がる可能性は否定できないでしょうね」(国際問題に詳しいジャーナリスト)

 G7開催前の23日に、中国を議長国としてオンライン形式で開催された第14回BRICS首脳会議には、アルジェリア、アルゼンチン、エジプト、インドネシア、イラン、カザフスタン、セネガル、ウズベキスタン、カンボジア、エチオピア、フィジー、マレーシア、タイの13カ国が参加。

「冒頭、習近平氏がビデオ講演し、続いてプーチン大統領、インドのモディ首相、ブラジルのボルソナーロ大統領、南アフリカのラマポーザ大統領という順番で挨拶したのですが、習主席は『BRICS陣営は人類85%の非西側諸国の代表』として、『ある国は庭に高い塀を張りめぐらし、極限の制裁を加え、人為的に分裂と対抗を作り出している』と、米国を“ある国”に例えて批判。つまり“自己の利益のために軍事同盟を拡大し、他国の権利と利益を無視する米国はデタラメだ。この危険な勢いが続けば、世界はより不安定になる”ということを表明したわけです。そしてその解決のカギを握るのが、新興国と発展途上国の代表である『BRICS陣営』であると。ま、中国が米国批判の際によく用いるロジックですが、問題なのは、BRICSの拡大会議に参加した13カ国の人口が世界人口の半分以上を占めているという点。つまり、『BRICS陣営』が今後さらなる拡大をみせると、世界が『BRICS』対『西側諸国』に分断される可能性も否定できないということです」(同)

 今回G7での首脳宣言にはエネルギーや、世界経済など幅広い分野での対応が盛り込まれ、途上国を支援する姿勢も打ち出された。額面通りに事が運ぶかは不明だが、食料危機を機に途上国のBRICSへの加盟申請が急増するかもしれない。

(灯倫太郎)

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