日本は52位…「中国の影響力」ランキングを台湾研究機関が発表

 中央アジアを貫く陸路「シルクロード経済ベルト」(一帯)とインド洋を経由する海路「21世紀海上シルクロード」(一路)を、中国からヨーロッパまで経済的につなぐ「一帯一路」構想を掲げ、アジアやアフリカ、中南米などの新興国を中心に莫大なカネを投資してきた中国。

 その中国が、政治・経済的な影響力を利用し、世界各国に浸透している状況を指数化した「チャイナ・インデックス(中国の影響力指数)2022」が、台湾の非営利団体「台湾民主実験室(DTL)」により、発表され話題になっている。

「対象となったのは82カ国。調査期間は昨年3月から今年3月までで、各国にあるDTLのパートナー機関や学者、ジャーナリスト、シンクタンクなどの研究員が、アンケートに回答する形で行われたもので、政治、経済、軍事、法、外交、学術、メディア、社会、技術の9分野において、中国の影響力の浸透度を分析。各分野を11指標に細分化し、評価点の合計で国別総点が算出されています」(全国紙記者)

 結果、中国の影響力が最も大きく及んでいる国はパキスタンで、以下、カンボジア(2位)、シンガポール(3位)、タイ(4位)と、いずれも東南アジアが続くが、5位にはペルーや南アフリカ共和国がランクインしていることから、南米及び、アフリカ大陸における中国の影響力拡大が明らかになった形だ。

「ライバル関係にあるインドと隣接しているパキスタンと中国とは最大の経済パートナーであると同時に、インド洋において最も信頼する戦略的パートナーでもあります。そのため、中国は2015年から『中国経済パキスタン回廊(CPEC)』という一大インフラ事業進めており、その予算規模は540億ドル(約7兆3000億円)を上回るとされている。ただし、中国から借り入れが拡大し、債務は雪だるま式に膨らんでいて、現在パキスタンが抱える債務の4分の1が中国からのものだと言いますからね。金を借りたはいいが『債務の罠』によって、さらに経済の悪化を懸念する声も多く、パキスタン政府に対し国民からも強い反発の声が上がっているようです」(同)

 また、中国と南アフリカは「BRICS(新興経済5カ国)」の一員として、経済的な友好関係を維持してきたが、

「ウクライナ戦争をきっかけに、どの国でもエネルギーや食糧価格の高騰にあえぎ、とくに新興国では膨らんだ金利が経済を直撃しています。つまり、今後は中国依存が大きい新興国ほど打撃が大きく、債務を返済することが難しい状況に追い込まれる可能性がある。また、中国の投資事業にはほとんど使用されない港湾整備など、採算の見込みのないプロジェクトも多く、雇用も生みだせていないことに対する国民からの反発も大きいのです。つまり、中国への依存度が高い国ほど、今後試練を強いられる事になる可能性が高い」(同)

 ちなみに米国は21位、日本は52位。貿易や観光など人とカネの交流はあるが、影響力は極めて低いという結果になっている。

(灯倫太郎)

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