6月24日午前0時過ぎに兵庫県明石市の泉房穂市長がTwitterを更新。前日にオンエアされた全国ネットの情報番組「ひるおび」(TBS系)に対して、厳しい声を上げた。番組で明石市の少子化対策が取り上げられたことを聞き、録画VTRを取り寄せたという泉市長は《残念な内容だ》として、こう続けた。
《明石市への取材は一切なく、事実誤認だらけ。明石市は職員給与は低くしていないし、女性の流出もない。次回は是非、取材のうえ、事実の報道を!》
いったいどんな放送内容が泉市長の逆鱗に触れたのか。「ひるおび」が明石市の少子化対策を取り上げたのは午後1時頃。2020年の明石市の合計特殊出生率が1.62で、全国平均の1.33を上回っていることを伝え、「子供を本気で応援すれば人口減少の問題に歯止めをかけられるし、経済も良くなっていく」(6月7日の参議院内閣委員会)という泉市長の発言を紹介した。さらに「“5つの無料化”で子育て支援」と書かれたボードを使い、18歳以下の医療費無料、中学校の給食無料、1歳誕生月までのおむつ無料など、明石市の子育て支援策を解説していたのだが、これを踏まえて日本総研の上席主任研究員の藤波匠氏は、「試行錯誤してより良い支援を行うことは重要」とコメント。財政的に難しい地域については、「国の支援」の必要性を訴えた。
番組MCの恵俊彰が「いろんな議論になるんじゃないですか。これに使いましょう。あれにお金使いましょう。橋を作りましょうとか」と、税金の使い道にもいろいろあると述べたうえで、「子育てを応援しましょうというのを市民のみなさんが理解してくれるかどうかですね」と述べた。
これに藤波氏が「明石市の場合は、職員の給与などをおさえながら、こういったところにお金を使ってる。少子化対策にお金を使ってるので…」と語ると、恵は「理解が得られている」と相槌を打ち、藤波氏も「そうですね。だと思います」と締めくくった。
さらに、ボードに「女性の流出を防げるかがカギ」というコメントを記していたのは相模女子大学の白河桃子特任教授。子育て政策以前に「子供を産む年齢の女性がいなくなることが地方消滅につながります」と述べ、同じ兵庫県豊岡市のケースを紹介。高校を卒業した女性が、20代になって同市に戻ってくる割合は25%だったことを挙げて、「女性に選ばれる町にならなくてはいけない」と問題提起した。
「まるで明石市の職員給与が低水準であるかのように決めつけるコメントと、明石市から女性が流出しているかのような番組構成に、泉市長としては黙っていられなかったのかもしれません。白河さんの『女性流出』はあくまで地方全般の課題として取り上げたのはわかりますが、明石市のボードに書き込むのは誤解を招く表現だったかもしれません」(テレビ誌ライター)
いずれにしても泉市長のツイートから、テレビ不信はますます深まりそうだ。