6月14日、公式戦無敗のボクシング元世界5階級王者フロイド・メイウェザー・ジュニアと9月の「RIZIN」での対戦が決まった格闘家の朝倉未来。今のところ、具体的なルールは明らかになっていないが、18年大晦日の那須川天心戦と同じボクシングルールでおこなわれることが濃厚だ。
そのため、専門家も格闘技ファンも朝倉の圧倒的不利を予想する声が多い。ボクサーではない彼が相手の土俵で戦うことになれば、そう予想するのは当たり前のことだ。しかし、格闘技専門誌の編集者は、「番狂わせが起こる可能性もある」と期待を込めて話す。
「朝倉選手はMMAトップファイターの中でも格闘IQが高く、冷静でクレバーな戦いをする。ルールの穴を見つけて予想外の攻撃を繰り出すことも考えられ、令和の猪木−モハメド・アリ戦になる可能性もある」
実際、朝倉はラスベガスで行われた記者会見後に配信した動画で、「一発蹴って5億みたいなんでクラウドファンディングしようかな」と意味深コメント。続けて、「(倒すには)最低2発は必要」と語ったが、この発言自体がメイウェザーには脅威になるという。
「パンチしか来ないと思っている状態で朝倉選手クラスの蹴りを食らえば、殿堂入りの世界王者でも倒れかねません。その場合、試合は即中止になると思いますが、覚悟のうえでやってくる可能性もあります。もちろん、本当にそのつもりならここで手の内を明かしたりしませんが、相手に蹴りがあると警戒させることでこれ以上ない牽制になります」(同)
猪木は完全なボクシングルールでなかったが、試合実現のためにアリ側の条件をすべて飲んだことでグラウンド状態での蹴りでしか攻撃できなかった。当時は“世紀の凡戦”と酷評されたがアリの足に蹴りを浴びせ続けた結果、帰国後に入院させるほどの深刻なダメージを負わせたと言われている。
「海外ではほぼ無名の朝倉選手からしてみれば今回の試合はメリットしかありません。天心選手のときは彼が童顔なのもあって海外では子供とのエキシビションマッチと捉えた人も多かったですが、今度はそうした誤解もないはず。対戦が決定した時点で朝倉選手にとってはすでに勝利したようなものです」(同)
果たして令和の猪木となれるか、競技の枠を超えた9月の決戦が今から楽しみだ。