弘兼憲史vs宅麻伸「楽しい終活のススメ」(2)夫婦はお互い干渉しなくていい

弘兼 ところで、今は一人暮らしですよね。当時、宅麻さんの結婚式に呼んでいただいて一番いい席で間近でおふたりを拝見しました。

宅麻 その節は、ありがとうございました。結婚生活はお互いを尊重し合って、長く続いたんですよ。

弘兼 やっぱり、お互いが別々の道へ進んだほうがいい、ということだったんですか。

宅麻 う〜ん、そうですね。当時は理由について、色々マスコミに言われたり書かれたりしたけれど、やっぱり乗り越えるべき時に乗り越えられなかったということなのかなぁ。

弘兼 宅麻さん、まだお若いんだし、もう一度、みたいなお気持ちはどうなんでしょう?

宅麻 そうですね。もう、大恋愛して、みたいな気持ちはないけど、わび・さびの世界では、そうありたいというか、そうあるべきかなと思いますね。

弘兼 僕は、昔からある程度の年齢を重ねたら夫婦だからといって「ずっと一緒に暮らさなければいけない」という決まりはないと思っているんです。月に1、2回は家族で食事会をしますが、あとはお互いにあんまり干渉しないようにしています。一人暮らしだと家事はどうされているんですか。

宅麻 完全な一人暮らしなので、掃除、洗濯は自分でしていますが、料理はしませんね。というか、食に対するこだわりがあまりないので、外食でも、コンビニでも大丈夫なんです。

弘兼 僕は料理が大好きなんですが、やってみることをオススメします。

宅麻 これで料理をし始めたら、ますます家から出なくなっちゃうのでまずいですよ。そういえば、この間、エンゼルスの大谷翔平選手がホームランを打った瞬間、テレビがプツッと壊れてしまったので買い替えました。ついでに洗濯機も。離婚した時に全部買い揃えたのでその時以来になります。

宅麻伸(たくま・しん)1956年岡山県出身。1979年「新・七人の刑事」(TBSテレビ)新米中野刑事役でデビュー。主な代表作には「おんな太閤記」(NHKテレビ)、「課長 島耕作」シリーズ、「法医学教室の事件ファイル」シリーズなど。近年は、映画「ウルトラマントリガー エピソードZ」(22年)にシズマミツクニ役で出演するなど幅広く活躍中。

弘兼憲史(ひろかね・けんし)1947年、山口県生まれ。早稲田大学法学部。松下電器産業(現パナソニック)に勤務後、74年に「風薫る」で漫画家デビュー。84年に「人間交差点」で小学館漫画賞を受賞。91年「課長島耕作」で講談社漫画賞、講談社漫画賞特別賞、00年「黄昏流星群」で文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、03年日本漫画家協会賞大賞を受賞。07年には紫綬褒章を受章。

*「楽しい終活のススメ」(3)につづく

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