「戦争を望んだのは彼」ブラジル次期大統領候補がゼレンスキー大統領を批判

 今年2月にウクライナへの軍事侵攻を開始して以来、西側諸国からの非難に加え、厳しい経済制裁を科せられているロシア。だが、未だ停戦の見通しが立たない状況に国際世論の足並みに綻びが見え始めている。

 なかでもブラジルでは10月の次期大統選候補のルラ氏が5月に発売された米タイム誌のインタビューにおいて、「戦争を望んだのはゼレンスキー氏。彼にも責任がある」と真っ向から批判。南米は親ロシア系の国が比較的多いとはいえ、ここまでハッキリと言い切るケースはなく、各国のメディアも驚きをもって報じている。

「ブラジルはボルソナロ大統領が一貫して中立の立場を公言しており、ゲジス経済相もロシアへの経済制裁に反対を表明していました。でも、今回のルラ氏のコメントはこれより一歩も二歩も踏み込んだ内容です。しかも、ルラ氏は03年から10年まで大統領を務めており、国の収支を黒字化させるなど財政健全化を実現した立役者。今度の選挙戦でも国民の支持率は現職大統領を上回り、当選が有力視されています」(全国紙記者)

 ちなみにブラジルはNATO(北大西洋条約機構)加盟国ではないが、19年3月に行われたボルソナロ大統領とトランプ前大統領との会談で「北大西洋条約機構(NATO)域外の同盟国」と発表。そのため、二枚舌外交と批判する声もある。

「ただ米国でも、冷戦下のニクソン、フォードの両政権を支えたキッシンジャー元国務長官が5月23日、ダボス会議にてウクライナ領土のロシア割譲を前提とした停戦案を提案。これにゼレンスキー大統領が怒りを露わにしています」(同)

 しかし、今後さらに戦争が長期化した場合、他の西側諸国からもこうした批判の声が上がる可能性があるという。

「ウクライナに侵攻したロシアの非が大きいとはいえ、時代劇ほど勧善懲悪なわけでもありません。世界経済にも大きな打撃を与えており、このままドロ沼化すれば批判の矛先が両国首脳に向かうことも考えられます」(同)

 これまで国際世論を上手く味方に付けてきたがウクライナだが、今後は難しい舵取りを迫られるかもしれない。

ライフ