照準を合わせて飛んでくるのは、核弾頭を搭載した最新のミサイルなのか。プーチン大統領が恫喝のトーンを上げる中、その矛先が向くのは何もウクライナだけとは限らない。そう、我がニッポンにもXデーが迫る─。
マリウポリを中心にウクライナ東部で激戦が続く、ロシアによる軍事侵攻。いまだ終戦どころか停戦の糸口さえ見つかっていない。
そんな中、ロシアのプーチン大統領は、4月27日の議員会合に出席し、
「外部から干渉する者は、我々の反撃が稲妻より速いものになることを知るべきだ。ロシアはあらゆる手段を持つ。我々はそれを自慢するのではなく、必要とあらば使うのだ」
と侵攻直後と変わらず、核兵器をチラつかせて恫喝。NATO(北大西洋条約機構)加盟国を中心とする西側諸国を牽制している。軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が解説する。
「ロシアを追い込むことでプーチン大統領が『エスカレーション・ラダー』を上げてくるかもしれません。つまり、言葉による牽制では飽き足らず、実際に核兵器使用に踏み切って牽制する。それをNATOの盟主である米・バイデン大統領は恐れているはずです」
この「ラダー」とはハシゴのことだ。人類が登ったことがない「核戦争」というステージにハシゴをかけて、そこを上るも降りるも自由である─。それが現在のプーチン大統領の立場であり、厄介な暴君たらしめる要因となっている。
しかも、ロシアは世界有数の核保有国。過去最大の破壊力を秘めた核兵器を保有していたのも旧ソビエト連邦だ。その象徴が「ツァーリ・ボンバ(爆弾の皇帝)」と称される超ド級の巨大水素爆弾だった。
「20年にロシアの国営原子力企業が原子力産業75周年記念として、1961年に行われた大気圏内核実験の映像をYouTubeで公開しました。パラシュートをつけて投下された爆弾が地表に到達する前に爆発すると、とてつもない大きさのキノコ雲が発生。その高さは地上68キロに達しました。衝撃はすさまじく数百キロ離れた家屋の窓ガラスを割り、閃光は1000キロ先まで届き、衝撃波は地球を3周したとも伝えられます」(軍事ライター)
このツァーリ・ボンバは50メガトンの破壊力を有していたという。広島に投下された原子爆弾「リトルボーイ」が約15キロトンであり、ツァーリ・ボンバは、その約3000倍以上の威力だがあったことになる。さらに恐るべきは、ツァーリ・ボンバは100メガトン級の兵器として開発されていたが、実験段階では出力を制限していたという事実だ。60年以上も前に、究極の核兵器を持っていた─。そんなロシアを前に、NATO諸国が及び腰になるのも無理はない。
この脅威は我が国にとっても他人事ではない。ロシアが岸田文雄総理ら63人の日本人を入国禁止としたように、日本は今や敵国なのである。まして多数の米軍基地を抱えている。いつロシアの核爆弾が落ちても不思議はないのだ。
*「週刊アサヒ芸能」5月19日号より。【2】につづく