「不愉快だ!」などと批判が殺到し、本来は6月30日まで運行予定だった広告ジャックの電車運行を10日で取りやめることになった、阪急電鉄。
「中止となった電車広告は、阪急と『はたらく言葉たち』という本を発行したコンサルタント会社・パラドックスが共同で製作したもので、同書から抜粋したいくつかのメッセージが記されていました。その中でも特に炎上したのが、『毎月50万円もらって毎日生きがいのない生活を送るか、30万円だけど仕事に行くのが楽しみで仕方がないという生活と、どっちがいいか』というものでした」(社会部記者)
これに、《30万円ももらえず仕事に楽しみもない人はどうすればいいのか》や、《通勤するたびにこんな小言を見せられるなんてゲンナリ…》《典型的なやりがい搾取。ブラック企業まっしぐら》《電車通勤する人の中に月30万もらっている人がどれだけいるかね…》など批判が殺到したのだ。
毎日新聞の取材に対し阪急電鉄は、「通勤や通学利用が多く、働く人々を応援したいという意図で企画した」「社内で掲載文を選ぶ過程で、不愉快な思いをさせてしまうかもしれないという指摘や懸念はまったくなかった」と説明しているが、なぜここまでブーイングが上がる事態となってしまったのか。
「2015年には、駅ビル型ショッピングセンターがウェブで公開した動画CMが女性蔑視だと非難を浴び、翌年に放映された大手化粧品会社のテレビCMはセクハラだと炎上。今年のバレンタインに全国チェーンの生活雑貨店が公開した広告動画にも苦情が殺到している。ここ数年、広告やCMで炎上が相次いでいますが、その理由は、もちろんSNSの普及がありますが、そもそも話題性を狙ったものが多い点にあります。注目を集めるために過激な言葉やメッセージを意図的に入れ込むわけですが、予想以上に反響が大きいと、それが炎上につながる。かえって企業にマイナスイメージを与えることも多いのですが、ギリギリのところでインパクトを与えようとしているということです」(経済ジャーナリスト)
とはいえ“より過激に”の麻痺で人の気持ちを逆撫でするのもどうかと思うが。
(小林洋三)