プーチンと習近平「悪夢の合体」野望【2】ロシア国営企業に虐殺写真!

 中国のロシアへの肩入れは、これだけにとどまらなかった。4月2日付の英紙「タイムズ」で、中国がロシア側についていることを示唆する記事が物議を醸しているのだ。外信部記者が解説する。

「ロシアのウクライナ侵攻の直前、2月20日から23日に中国がウクライナに大規模なサイバー攻撃をしていたことを報じました。安全保障に関わる政府機関や、原子力規制当局を含む核関連機関などが狙われたそうです。サイバー攻撃は特有のツールや手法によって、中国によるものと判明したとして、『ロシアが中国に侵攻計画を伝えていたことを裏付ける』と、専門家の証言を掲載しています」

 報道内容を額面通り受けとめれば、中ロのズブズブの蜜月関係は濃く、放っておけない危険な存在となるが、「プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争」(文藝春秋・4月20日発売)の著者で、国際ジャーナリストの山田敏弘氏はこう読み解く。

「中国は人民解放軍がサイバー部隊を持っていますが、政府が直接関与してウクライナ侵攻直前のタイミングで〝手助け〟したとなれば、世界各国から批判を浴びるのは想像に難くありません。そのため、中国の民間企業に発注して政府の代わりにサイバー攻撃をさせた可能性はあります。それだけなら企業による犯罪行為にすぎず、中国政府は責任逃れができるし、ロシア側に対しては、味方だという意味合いが十分伝わるでしょう」

 あくまでも中国は一線を引いていると見せながら、ロシアと歩調を合わせているのだ。それでも、決して中ロの思惑通りにコトは進んでいなかった。

 ウクライナはロシアのサイバー攻撃に対抗するため、フョードロフ副首相が「IT軍」を創設。ロシア侵攻直後にツイッターで呼び掛け、世界中から30万人前後が「民兵」として戦争に参加していた。山田氏が、そのやり方と成果について説明する。

「対話アプリ『テレグラム』に開設された専用チャンネルに、定期的に標的となるロシアの政府系の機関や企業のURLが貼られ、IT軍に参加している『民兵』が大量にアクセスしてサイトをダウンさせる『DDoS(ディードス)攻撃』を仕掛けています。その他にも、ロシアの国営天然ガス企業・ガスプロムのホームページを改竄し、虐殺されたウクライナ市民の写真を載せたり、ロシア国内にいる市民にメールをばら撒き、ロシア兵がウクライナでどれほど残虐なことをしているのかを知らせるため、作戦を実行しているんです」

 国際ハッカー集団「アノニマス」やベラルーシの反体制ハッカー集団「サイバー・パルチザン」などもウクライナIT軍に参戦。バチバチのバトルが展開されると思いきや、サイバー空間をめぐる攻防には思わぬ展開が待っていた。

*「週刊アサヒ芸能」4月21日号より。【3】につづく

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