ウクライナがNFTで資金調達も開始…ロシアを圧倒する「サイバー作戦」の凄み

 ウクライナが、戦争の記録を時系列にしたNFT(非代替性トークン)を販売するサイト「Meta History: Museum of War」を立ち上げた。販売は3月30日にスタートする予定で、売り上げ金は軍や国民の支援のために使うとしており、ロシアに対しITを最大限に活用して徹底抗戦を続ける構えだ。

 同サイトによれば、ロシアのウクライナ侵攻が開始した時点から、ウクライナが“歓喜の瞬間”を迎えるまでをタイムライン化し、ウクライナや海外のアーティストと協力してNFTを作成するという。これは世界中のデジタルコミュニティーに真実の情報を広め、ウクライナを支援するための寄付を集めることを目的とし、ウクライナ副首相兼デジタル改革省大臣のミハイロ・フョードロフ氏は「ロシアが戦車を利用してウクライナを破壊するなら、我々はブロックチェーン技術を利用する」と自身のTwitterに投稿している。

 一部では「戦争をビジネスにするな」といった批判の声もあるが、このNFTには購入者が殺到するとみられ、ITを効果的に利用する姿勢に称賛の声も出ている。

「ウクライナは旧ソ連時代から高い科学技術を持ち、近年では『東欧のシリコンバレー』と呼ばれるほどのIT大国に成長。ロシアの侵攻に対しても得意のITをフル活用し、同国に進出する70社超のIT企業にロシアでのサービスを停止するよう呼びかけ、Appleがロシア国内での製品販売を一時中止すると、MicrosoftやNETFLIXなどもこれに続きました。さらにウクライナでは2月下旬にIT軍を設立。フョードロフ氏がTwitterで呼びかけたことにより世界各国から有志が集まり、3月27日時点では30万人以上が登録しています。IT軍はロシア国内の標的となるサーバーに一斉アクセスを仕掛けたり、大量のデータを送り込む『DDoS攻撃』を仕掛け、海外メディアによればロシアの政府機関のサイトがダウンするなどの戦果をあげているとの報告もあるのです」(ITジャーナリスト)

 ウクライナは引き続き厳しい状況にあるが、情報戦ではロシアを圧倒しているという声もあり、これが侵攻を遅らせる一つの要因となっているのかもしれない。

(小林洋三)

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