ネット広告費の圧倒で囁かれる“テレビのオワコン化”に現実味!?

 2月24日、大手広告代理店の電通が「2021年 日本の広告費」を発表。インターネット広告費がテレビ・新聞・ラジオ・雑誌を合わせたマスコミ4媒体の広告費を調査開始以来はじめて上回ったことが明らかとなり、「テレビのオワコン化がより鮮明になった」との声も上がっている。

「日本の広告費はネットにマスコミ4媒体、さらに折込チラシや屋外広告を加えた日本の広告費における総額を推計したもので、21年はコロナ禍の巣ごもり需要もあって全体の総広告費は6兆7889億円で前年比10.4%増と堅調に推移しました。マスコミ4媒体も東京五輪による広告需要が増加したことで2兆4538億円で同8.9%増と回復傾向とありましたが、ネット広告費はそれをさらに上回る同21.4%増で2兆7052億円となり、ネット広告費の推計をはじめた1997年以来はじめてマスコミ4媒体の合計を超えたのです」(経済ジャーナリスト)

 昨年8月に総務省が発表した「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によれば、10~60代が平日にテレビを観る時間よりもインターネットを利用する時間がはじめて上回ったことも明らかになっており、若者だけではなくあらゆる世代でテレビ離れが進行していることが判明したが、広告費の面でもネットがテレビを圧倒する結果となったのだ。

「アメリカでは、ネット分野をさらに絞りSNS動画(「TikTok」や「YouTube」など)に限った視聴時間を全米民生技術協会(CTA)が調査したところ、なんとテレビの視聴時間とほぼ変わらないという調査結果が出ているので、テレビ離れが進んでいるのは日本に限った話ではありません。今後、日本もネット広告費と4媒体との差がますます広がることが予想され、ネットコンテツの充実度が上がる一方、テレビ番組のクオリティが落ちていく可能性もありますね」(前出・経済ジャーナリスト)

 先ごろ、YouTuberのヒカルが芸人から酒席でYouTuberであることをディスられたと暴露し話題となったが、今後はさらにYouTuberの方が芸人よりも金銭的な面で格上になるのかもしれない。

(小林洋三)

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