ビジネスの場でも日常生活や酒場交遊においても、「雑談」は人間関係を作る必須の会話。相手から話を引き出す、聞き上手になる、情報を与える、話をグッと盛り上げる・・・・と、そのテクニックは様々ある。
いや、その前にまずは「雑談のネタ」を持っていないと、盛り上がるものも盛り上がらないかもしれない。では、どうすればいいのか。なんと「テレビを見ているだけでコト足りる」と語るのは、放送作家として5000以上の番組制作に携わってきた金森匠氏である。
「例えば、わずか1分で初対面の相手から興味を持たれるテッパンの法則。これはテレビ番組の冒頭に登場する『つかみ』を見ていれば、おのずとわかってきます。タレントの登場の仕方、いきなりハイライト部分のVTRから始まる構成・・・・。これを初対面時の人間関係に当てはめる発言、質問の仕方があるのです。そしてその後の話題展開のさせ方には、テレビドラマの手法を応用します」
その上で、相手との関係を強化させるためには「恥ずかしい話のコレクション」「多少盛った失敗談」という武器が有効で、
「恥ずかしい失敗談の中に、相手に学びを与えられる要素を忍ばせていれば最高です。これはバラエティー番組に見られる手法のひとつです」(前出・金森氏)
あるいは報道番組やニュース番組の作り方になぞらえて、「怒ると相手との距離が縮まる」とも。
「例えば、誰もが関心を持ちやすいニュースネタに税金があります。税金の無駄遣いと聞けば誰でも、共通の怒りが込み上げてくるでしょう。怒りは力であり、行動変容の動機となります。怒りの感情には人を団結させる力も備わっているのです」(前出・金森氏)
そして相手に自分を「伝える」雑談の方法は、スポーツ番組にヒントがあると、金森氏は言う。
「テレビを見ているだけでわかる雑談テクの数々をぜひ、多くの人に知ってもらいたい。雑談力が上がれば必然的に人間力は激増し、『にんげん視聴率』も上がることになる。するとあなたの周囲には『サポーター』が集まってくるのです。そうした思いを込めて私が先頃、書いたのが『テレビを見るだけで雑談力が爆上がりする魔法のスキル』(徳間書店)という著書でした。これはいわば、人付き合いの達人になるための、あなたと他人の取扱説明書だと言えます」
テレビは「半径3メートルのメディア」と称される。雑談のネタも、各々の半径3メートルに転がっていることが多い。
雑談の極意を身に着ければ多彩なコミュニケーション技術とともに、自らの価値を最高に上げる「最幸運な人間力」がもたらされるのだ。