中国国内ではコロナ感染に関する情報は、ネット検閲による徹底監視でほとんど調べることが不可能な有様。五味氏によれば、
「すでに、中国当局によるコロナへの検閲は日常茶飯事。中国の現地の人が、コロナに関する情報をSNSに上げた途端に捕まったケースもあるほど。(1月28日現在で)中国では感染者が70名いると公式発表をしていますが、武漢での新型コロナウイルスの発生当初、なかなか情報を公開しなかった“前科”があるだけに、その数字を素直に信じることはできません」
さらには、国家のメンツのためには国民の人権も関係なしというのが、かの国のスタンスだ。今回の冬季五輪でもメインスタジアムとなる「燕の巣」についても、08年の夏季北京五輪の開発の際、とんでもない光景が繰り広げられていた経緯がある。
「08年当時、北京の五輪スタジアムにほど近いエリアには、ボロボロのバラックが並ぶドヤ街があった。するとある日突然、ドヤ街の周囲を壁で覆い尽くし、外から見えないようにしたかと思うと、そのまま強制的に、建物を一斉にぶっ壊して更地にしてしまった。こうしたことを地元のメディアもまったく報じませんし、中国当局にとっては『暗部』を隠すためなら住民の犠牲は一切ためらわないんです。そもそもの話、中国が極端なゼロコロナ策を展開する理由のひとつに、中国製ワクチンに世界から全く信用がないことが挙げられます。国家戦略としてコロナ対策に励む中国にとって、『コロナをコントロールして平和の祭典を成功させた』というのは国際社会に対し、これ以上ないアピールとなる。また、『コロナは中国で発生したもの』という悪いイメージを払拭する思惑も大いにあります」(五輪関係者)
つまり、北京五輪を利用した壮大なプロパガンダが仕掛けられているというのだ。
さらには世界各国から訪れる五輪関係者に対する監視も徹底している。在米放送局の関係者が証言する。
「関連施設とホテルを行き来するだけの『バブル方式』で行われるという点では昨年の東京と同じですが、監視の厳しさは桁違いですよ。去年の東京五輪では、何度か宿舎から抜け出して池袋や新橋に飲みに行けたが、北京では夜の街に繰り出して遊ぶのはどう考えても不可能。我々のホテルの前には『脱走者』が出ないように拳銃を持った警官が見張っていて、抜け出そうものなら発砲されかねない。仮にホテルの外に出られたとしても、無数に設置された防犯カメラの顔認証システムですぐバレてしまう。なので、今大会はホテルでおとなしく過ごすことに決めました。ホテル内のレストランで食事を摂ると高くつくのが悩みのタネですね」
まさに、外国人には、人海戦術によるマンツーマンディフェンスで、冷徹なほどの封じ込め作戦を展開しているのだ。
*キテレツ北京五輪「超監視と徹底隔離」舞台裏【3】に続く