キテレツ北京五輪「超監視と徹底隔離」舞台裏【1】“下”からのPCR検査も

 いよいよ2月4日から始まった北京五輪。徹底した新型コロナ対策で、事前情報はほとんど伝わってこないが、習近平国家主席の肝いりとあって準備は万全。しかし度を越した監視ぶりと「危険分子」は徹底的に隔離するという「恐怖支配」は、世界からみれば、キテレツそのもの。日本人選手も巻き込まれかねない怪しい運営体制に迫る!

 中国といえば、かつてアメリカのトランプ前大統領が、新型コロナウイルスを「チャイナウイルス」と連呼したことや、一部メディアの「武漢ウイルス」なる名称に抗議するなど、世界でどこよりも「ゼロコロナ」を標榜。習近平体制が威信をかけて取り組んできた重大事項だ。

 しかも昨年の東京五輪の成功を受けて、なんとしてもコロナを抑え込みたいだけに、極端なまでの水際対策を講じ、世界中から人権侵害の声すら上がっているのだ。

 1月半ばから現地入りしているテレビスタッフが証言する。

「北京首都国際空港の案内スタッフは全員が厳重な防護服を着用し、表情すら分からない。入国手続きを終えた瞬間には、5人ぐらいの清掃員に囲まれて消毒液を全身に噴射されました。バスの中でも中国人の清掃員が目を光らせていて、乗客が入れ替わるたびに座席を消毒しているんです。ホテルでも消毒液の臭いが充満していて、毎日吐き気が止まりませんよ」

 消毒と並び、念入りに行っているのがPCR検査。昨年来、中国在住の自国民はもとより、外国人にも試験的に導入されてきた“後ろの穴”からの「PCR検査」の実施を、競技に出場するアスリートにも求めるよう進めているのだ。前出のテレビスタッフによれば、

「これが強制されれば屈辱的なだけでなく、選手のパフォーマンスもガタ落ちになりますよ。実際に受けた人間いわく『検査から数日経っても後ろに違和感が残る』とのこと。もしも女子選手が検査対象になったら、性ハラで国際問題になりかねませんよ」

 この検体検査は通常、鼻の粘膜検査のように、下の“出口”に綿棒のような細い棒を挿入し、周辺の粘膜を採取するというモノ。

 中国当局の「PCR頼み」はエスカレートする一方で「人間だけでなく犬や猫のペットも定期的にPCRを受けさせられる。今年に入ってからはなんと『冷蔵庫やテレビにもPCR検査をするように』と役場の人から言われました。さすがに家電製品はコロナに罹らないと思うのですが‥‥」(北京市内に住む日本人)

 まさに、なりふり構わず「ゼロコロナ」を目指す中国について、東京新聞論説委員でジャーナリストの五味洋治氏は「中国にはそもそも、人権という感覚がない」と指摘する。

「ある街でコロナの感染者が一人でも出たら、周りの人を有無を言わさず遠方の田舎に連れていく。2〜3週間ほど徹底監視の下で、一歩も外に出させないんです」

 欧米メディアでは「コロナ感染者が出た学校にバスが横付けされ、生徒全員が暖房施設のない零下5度の隔離施設に連行された」と報じられているほど過酷なのだ。

*キテレツ北京五輪「超監視と徹底隔離」舞台裏【2】に続く

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