ウクライナ危機で株価上昇、国際情勢がキナ臭くなると狙われる「防衛関連銘柄」

 1月25日の日経平均が久々に大きく下げた。終値こそ2万7131円34銭で前日より457円下げた2万7000円台だったが、取引時間中には一時2万7000円を割り込んだ。日経平均が2万7000円を下回ったのは、1日のコロナ感染者数が2万5000人を超えて完全に第5波がピークに達していた8月20日以来で、2万7000円は心理的節目ということもあって、日経平均は500円以上下げて、実に東証1部の9割の銘柄が株価を下げた。

「原因はアメリカの金融政策の先行き不安とウクライナ問題です。後者に関しては、23日にアメリカのウクライナ大使館の職員家族に退避命令が出され、24日にはNATO軍が部隊を増員し、アメリカも支援のため8500人の米軍部隊投入の準備態勢に入ったことから一気に緊張感が高まりました。そういった世界的情勢の不安と思惑が交錯した結果、株価に影響が現れました」(経済ジャーナリスト)

 だが逆に言えば、そういった状況でも残りの1割の銘柄は下がることを知らなかったわけで、中には逆に上げた銘柄もある。「防衛」関連銘柄がそれだ。

「防衛関連銘柄と言えば、三菱重工、川崎重工、IHIが御三家とされ、さらに石川製作所、細谷火工、豊和工業が新御三家と呼ばれています。このうち、特に石川製作所は前日の約1500円から200円上げ、細谷火工は約1000円から300円上げる場面がありました。石川製作所は機雷を製造、細谷火工は自衛隊向けの発煙筒、照明弾を製造する企業です」(同)

 今年に入ってトータルで株価は堅調だが、国際情勢を見れば北朝鮮が新ミサイルを連発していることもあって、これら「防衛」関連銘柄には注目が集まっている。25日は御三家はいずれも株価を下げたが、三菱重工は昨年末には約2650円だったものが、最近は3000円台を、川崎重工も約2000円だったものが2300円台で推移している。

 この他でも、航空機や艦艇、車両搭載機向けの機器製造を行う東京計器、防衛省から自動警戒管制システムを受注している日本アビオニクスなどもこの日は株価を上げた。ウクライナ問題の後には台湾問題も控えて緊張はなおも続くので、意外な銘柄の上下動が激しくなるかもしれない。

(猫間滋)

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