核実験を示唆! 北朝鮮、ミサイル連射&“中朝列車”再開…北京五輪前に何が?

 北朝鮮が平壌市内から日本海に向け、短距離弾道ミサイルと推定される飛翔体2発を発射した、との発表が韓国軍からあったのは17日のこと。詳細は不明だが、ミサイルは高度約42km、およそ380kmを飛び日本海に着水。今年に入り北朝鮮による弾道ミサイル発射は、4回目で、2回目の発射が確認された11日からはなんと、「3日おき」という異例のペースが続いている。

 韓国軍によれば、5日と11日に発射された「極超音速ミサイル」は、マッハ10前後の速度で飛ぶという恐るべき弾道ミサイル。また14日には、ロシア製短距離弾道ミサイル「イスカンデル」の北朝鮮版である「KN23」が発射され、17日に発射されたミサイルは、核弾頭が搭載可能な短距離弾道ミサイル「KN24」の可能性が高いとされる。

「通常、イージス艦が迎撃できるのは高度70キロメートル以上を飛ぶ弾道ミサイルなので、それより低い軌道で飛ぶミサイルに対しては、迎撃が難しいといわれます。北朝鮮が極超音速で低空飛行ができ、さらに核弾頭を搭載可能なミサイル開発に成功したとなると、日米韓にとってまさに由々しき事態。日本にとっても最大の脅威になったことは間違いありません」(北朝鮮情勢に詳しいジャーナリスト)

 北朝鮮はこれまで、大陸間弾道ミサイル(ICBM)のほか、潜水艦発射弾道ミサイルや変則軌道の短距離弾道ミサイルなど、さまざまな兵器開発を進めてきたが、

「北朝鮮が去年1月に掲げたのが5か年計画での戦力強化で、その主軸となったのがミサイル兵器の完成です。であるならば、今回のミサイル発射は北朝鮮のミサイル開発技術がほぼ完成に近づき、あとはいつどこからでも発射できるよう運用の訓練に入ったとも考えられます。ちょうど2月16日が故金正日総書記生誕80年の記念日にあたり、それまではミサイル発射が続く可能性も考えらます」(同)

 そんな中、絶妙なタイミングで伝えられたのが、中国と北朝鮮の陸路貿易が2年ぶりに再開されたというニュースだ。

「報道によれば、陸路貿易の再開が明らかになったのは、ミサイル発射が4回目のミサイル発射が行われた17日のことで、中国遼寧省丹東市を出発した貨物列車が、鴨緑江に架かる『中朝友誼橋』を渡り、北朝鮮側に入ったことが確認され、積み荷の中身は中国の砂糖や油、小麦粉などだとか。ただ常識的に考えて、北京冬季五輪直前にミサイル発射など、中国にとっては迷惑な話。そんなタイミングで制裁どころか陸路貿易を再開したとなると、両国の間でなんらかの合意がなされていた可能性が高い。一部には、米国との関係が極度に悪化している中・露が、北朝鮮のミサイル発射を黙認しているとの見方もあるほど。いずれにせよ、今後の北朝鮮の動向が注目されるばかりです」(同)

 ここに来て、ICBM(大陸間弾道ミサイル)や核実験の再開も示唆した金正恩総書記。岸田政権が突きつけられた課題はあまりにも大きい。

(灯倫太郎)

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