日本ではありえない!? 米で「チップ50万円」独り占めウエートレスが“解雇”騒動

 客の要望通りに50万円のチップを受け取ったら解雇された――。あるウエートレスの悲劇を複数の海外メディアが報じている。

 12月6日、米アーカンソー州にあるレストラン「オーブン・アンド・タップ」で、とある不動産会社のパーティーが開催された。このパーティーは、悲劇の主人公であるライアン・ブラントと、もうひとりのウエートレスが接客を担当したというが、パーティーの参加客はふたりの働きぶりに非常に満足して、参加客一人ひとりがそれぞれ100ドルをチップとして支払い、計4400ドル(約50万円)が渡されたという。

 しかしブラントらはレストランのマネージャーから「受け取ったチップは他の従業員にも配分すること」と「チップは全額店に預け、そこから20%を受け取ること」を言い渡されてしまった。それを知った不動会社のオーナーは「チップは全額ふたりのウエートレスに渡してほしい」と要望。ブラントが直接チップを受け取ると、翌日レストランから「店が定めるチップに関するポリシーに違反した」ことを原因に電話で解雇することを告げられてしまったのだ。なお、もうひとりのウエートレスは他の従業員にもチップを配分することを受け入れ、直接チップは受け取らなかったという。

「補足すると、アメリカのチップ制度では基本的にチップを受け取った従業員は、そのとき一緒に働いていた他の従業員にも平等に配分しなければならないというルールがあります。たとえばレストランであれば、どんな素晴らしい働きをしてもキッチンで働く人は直接客からチップを受け取ることが不可能だからです。しかし、直に接客してくれた従業員にだけチップを渡したいという客も少なからずいることから、今回のようなトラブルも決して珍しいことではありません。なお、チップ制はこうしたトラブルの他にも、収入が安定しないことやハラスメントの温床になっていることから、廃止を求める動きもあるのです」(海外事情に詳しいライター)

 この騒動を受け日本のネット上では、《こんな面倒臭い風習が日本に無くてよかった。日本にチップ制度を導入しようと働きかけている人もいるようだが、マジで不要な文化》《まぁ、厨房で働く人からしたら、一緒に頑張ってパーティーを成功させたのにウエートレスだけが全額チップを持っていったら納得いかないだろうな。こんな曖昧でいい加減な制度やめればいいのに》《パーティー参加客がひとりずつ100ドルのチップをウエーターやウエートレスに支払うサプライズが今アメリカで流行っていて、この時も動画を撮影していたようだ。不動産会社もプロモーションとして利用したいから、固定のウエートレスに多額のチップを渡そうとするんだよね。決して綺麗ごとだけではないってこと》などの意見が寄せられていた。

 日本ではまずない話だが、チップの習慣自体は時折出くわすだけに反響が大きかったようだ。

(小林洋三)

ライフ