関西スーパー争奪戦に敗れた「OK」が関西に大量出店!?次は“血で血を洗う”地上戦へ

 日本におけるスーパーの歴史を先駆けた老舗ながら、兵庫、大阪、奈良が地盤という関西ローカルの「関西スーパー」を巡る争奪戦にとうとうケリがついた。

 対立は、関西スーパーを傘下に収めて関西での地盤をより強固にしたい阪急阪神東宝グループの小売り事業会社である「エイチ・ツー・オー リテイリング」(H2O)と、これを足場にして関西進出を図りたい、横浜が地盤で関東でディスカウントスーパーを展開するオーケー(OK)との間で争われたが、まさに薄氷を踏む形でH2Oの勝利に終わった。

「H2Oとの統合を望んだ関西スーパーが10月29日に臨時株主総会を開催して株主に賛否の決を採ったところ、統合への賛成票が僅差で反対派を上回るという結果でした。ところが票の集計で疑問が生じたことから、反対派のOKが経営統合の差し止めを求める仮処分を神戸地裁に申し立てて司法の場に持ち込まれる事態に発展。神戸地裁は申し立てを認めましたが、今度は関西スーパー側が抗告すると大阪高裁では判断が逆転。最高裁までもつれ込みましたが、12月14日、最高裁はOKの申し立てを退けてH2O側の勝利が決定しました」(経済ジャーナリスト)

 結局、相思相愛の関西スーパーとH2OにOKの横恋慕は叶わなかったわけで、元さやの両者はさぞや大喜びかと思いきや、OKは2250円という上場来高値での株式公開買い付け(TOB)を用意していたので、これを蹴った関西スーパーは投資家の不興を買って翌15日の同社の株価は午前中に約300円も値を下げた。その時の株価は1094円なので、OKが提示した条件の半値以下だ。果たして本当に良かったのか、大いに疑問が残るところではある。

 加えて、OKの関西進出を関西のローカル連合が手を組んで阻止したことで、OKの闘争心に火を点けてしまったかもしれない。これまでの経緯を踏まえてOKの二宮涼太郎社長は15日にメディアの取材に応じたのだが、関西進出は諦めているどころか、むしろ大量出店の本格攻勢に出る覚悟を明かしたからだ。

「やるからには『50店舗でいいかな』といった中途半端な数ではなく、本格的な出店を行うとしています。単独でやるかどこかと手を組むかは未定とのことですが、現在の関西スーパーの店舗数が60そこそこなので、二宮社長が含みを持たせた単独で進出した場合、少なくとも関西スーパーの店舗数を優に上回るであろう店舗を新たに出店することになるわけで、となれば関西のスーパー戦争は顧客の奪い合いで血で血を洗うものになるでしょう」(同)

 8月に関西スーパーとH2Oとの統合案が発表された時点から約4カ月、さらにOKが関西スーパーにTOB提案をした時点まで遡れば実に半年近くにまで及んでやっと終結した“関西スーパー戦争”。実は来るべき“大戦”を呼ぶ “事変”程度に過ぎなかったのかもしれない。

(猫間滋) 

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