3位は長崎県、2位は沖縄県、1位は?「コロナ失業率」の地域格差が浮き彫り

 コロナ禍で多くの企業が業績悪化で苦しむ中、従業員の解雇や非正規雇用者の雇い止めに踏み切ったところも少なくない。厚生労働省の『新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について』によると、コロナが原因で職を失った人(※解雇見込み含む)は5月7日時点で10万3000人。

 累計感染者数よりは少ないとはいえ、昨年の平均完全失業率は2.8%と前年から0.4ポイント悪化。年間失業率が悪化したのはリーマンショック以来となり、失業者が今後も増えるのは避けられそうにもない。そんな中、都道府県別のコロナ関連失業状況を調べると、意外な地域で失業者が多いことがわかった。

 厚労省のデータをもとに各地域の人口10万人あたりのコロナ関連失業者数を算出したところ、ワースト1位は東京都の162.9人。これは概ね予想通りの結果といえるが、2位の沖縄県(146.0人)をはじめ、3位長崎県(140.0人)、4位秋田県(132.5人)、5位青森県(129.9人)と地方4県が上位を占める結果に。

 これに対して東京と同じ大都市の大阪府は13位(106.9人)、愛知県も25位(75.0人)と人口比だとそこまでひどい状況ではない。また、失業者の割合が少なかったのは44位福岡県(37.5人)、45位熊本県(27.6人)、46位埼玉県(25.0人)、47位徳島県(15.1人)だった。

 この結果について「雇用調整を行ったのは、主に製造、小売、飲食、宿泊の4つ。失業者の約6割はいずれかの業種に従事していた方たち。東京はすべての業種が揃っており、一大観光地の沖縄も飲食・宿泊業が大打撃を受けている。他のワースト上位の県も宿泊業のほか、製造業もかなり深刻でその影響が出ている」と分析するのは経済ジャーナリスト。

 ただし、同じ製造業でも扱うモノによって影響を受けていな企業も多く、そうした状況が失業率の地域格差に反映されているとか。

「首都圏でも東京以外の各県は埼玉をはじめ、コロナ関連失業率は低めです。また、全国で最も低い徳島県とワーストの東京の失業格差は約10.8倍もの開きがある。これは軽視できない数字です」(前出・ジャーナリスト)

 もし移住に合わせて転職を考えているなら、コロナ失業率の低い地域に引っ越すというのは意外とアリなのかもしれない。

■人口10万人あたりのコロナ関連失業者数ランキング

1位 東京都  162.9人
2位 沖縄県  146.0人
3位 長崎県  140.1人
4位 秋田県  132.5人
5位 青森県  129.9人
6位 佐賀県  114.6人
7位 福井県  114.2人
8位 富山県  113.9人
9位 島根県  112.8人
10位 広島県  112.9人
11位 石川県  112.4人
12位 宮城県  107.2人
13位 大阪府  106.9人
14位 長野県  104.7人
15位 岐阜県  100.3人
16位 山形県  100.0人
17位 山梨県   93.9人
18位 宮崎県   87.6人
19位 鳥取県   87.4人
20位 鹿児島県  86.2人
21位 福島県   84.3人
22位 新潟県   82.7人
23位 群馬県   77.8人
24位 岡山県   76.7人
25位 愛知県   75.0人
26位 北海道   73.2人
27位 愛媛県   70.6人
28位 栃木県   69.3人
29位 茨城県   68.8人
30位 静岡県   64.9人
31位 山口県   64.8人
32位 岩手県   64.6人
33位 京都府   63.3人
34位 高知県   57.8人
35位 和歌山県  57.8人
36位 滋賀県   54.3人
37位 千葉県   53.8人
38位 大分県   51.6人
39位 三重県   49.8人
40位 神奈川県  49.2人
41位 兵庫県   48.0人
42位 奈良県   45.0人
43位 香川県   44.3人
44位 福岡県   37.5人
45位 熊本県   27.6人
46位 埼玉県   25.0人
47位 徳島県   15.1人

※厚生労働省『新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について(5月7日時点)』のデータをもとに編集部が計算。

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