食品の“ステルス値上げ”が続々進行中!「いつの間にか中身が減っていた…」

 サラダ油、小麦粉、コーヒー……世界的な原材料費の高騰で食品の値上げに関するニュースが溢れている。理由は原油高による物流コストの上昇やコロナ禍からの需要回復、その一方でコンテナ頼りになっている輸送不足などだ。日本でもパンやパスタ、マーガリンなどといった身近な食品の値上げが10月から相次ぎ、未だ需要はひっ迫したままだ。

 一方、値段が上がっていれば肌感覚で分かるものだが、いつの間にか内容量が減っていて、実質的には値段が上がっている「内容量の変更」はなかなか気づかないもの。だから「ステルス値上げ」や「実質値上げ」「隠れ値上げ」などと呼ばれる。例えばここ最近では、日本ハムが来年2月からハムやソーセージの取引価格の値上げや内容量を発表していて、カルビーや湖池屋でも同時期からポテトチップスの中身を減らすとしている。

「ステルス値上げは2017年ころから話題になっており、ネットでは内容量が減った商品の一覧を常時掲載するページもあるほどです。ステルス値上げは値段やパッケージが変わらないのに内容量だけがシュリンクすることから、経済用語では“シュリンクフレーション”といいます」(経済ジャーナリスト)

 シュリンクフレーションは、人件費や原材料費の高騰などで、それまでの値段では利益の確保が難しくなった時に生じるのだという。消費税が上がった時などは、消費が落ち込むため、価格の上昇分だけ内容量をシュリンクさせるといったことも。まさに現在は、原材料費の高騰分を値段に反映させるのではなく、中身をシュリンクさせるという選択をとっているいうことだ。その辺りの事情は商品や各社それぞれの理由による。

 ステルス値上げは消費者にしてみれば「ダマされた」という気になりがちなもの。だがその裏には商品のイメージはそのままにコストを内容量に反映させないとやっていけないという企業の切実さもあり、そこは消費者も理解してあげないといけないのかもしれない。

(猫間滋)

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