文具メーカー大手のコクヨは10月15日、来年1月1日からバインダー型ノートやハサミなどの文具20品目を平均8%値上げすると発表した。鋼材価格が高騰しているためだという。
「今回値上げされるのは鋼材を使用する文具20品目ですが、色違いなどを1商品として計算した場合は全1602商品となり、同社の文具の約15%を占めることになります。コクヨは2年前の2019年7月にも値上げしており、文具の価格はどんどん高くなっていっている印象です」(経済ジャーナリスト)
同社が発表した2021年1月~6月期の連結決算では、売上高が前年同期比8%増。さらには純利益が33%増とコロナ危機を脱したと見られているが、今回の値上げ発表ではネット上で《そこまで値上げするなら100円ショップで済ます》といった声が多く出ている。
「今後、文具は100円ショップで購入するという流れが加速する可能性は十分にあると思います。140を超える業界の動向を独自に調査にする『業界動向サーチ』によれば、文具業界の規模は右肩上がりになっているものの、販売額はここ数年減少を続けているのです。人口の減少やデジタル化の促進も影響していると見られていますが、100円ショップで文具を購入する人が増えたことも販売額減少に繋がる一因と考えられます。コクヨに限らず文具メーカーが値上げをするようであれば、今後100円ショップに流れる人はさらに増えてくるのではないでしょうか」(前出・経済ジャーナリスト)
最近は“文具女子”も話題になっているが、文具メーカーは今後ますます“値段は張ってもこだわりを見せる”商品が求められそうだ。
(小林洋三)
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