最近、「日本の物価は世界的にも安い」といった内容の記事をやたらと見かけるが、実際に物価水準は先進国では最安レベル。ただし、同時に賃金も安いため、日本に住んでいる私たちがそれを実感することはできない。
十分な老後資金がなければ、定年後にギリギリの生活を強いられる可能性もありそうだが、世界には日本よりも物価の安い国が存在する。そういう国に移住することでワンランク上のリタイア生活を送ることができるという。
「まず筆頭に挙げるのはタイですね。インフラも整備されていますし、治安もそれほど悪くない。なにより年配の移住者が多くいます。ただし、バンコクは家賃も物価も高く、チェンマイなどの地方都市でないと厳しいと思います」(移住事情に詳しいジャーナリスト)
ちなみに地方都市の場合、広めのワンルームで家具・家電完備のコンドミニアムでも共用プール付きで月3万円以下の物件があるとか。食事は現地の大衆食堂か屋台、もしく自炊中心なら十分暮らせていけそうだ。
また、物価の安さと日本人に人気という点ではフィリピンもオススメだという。
「強盗などが多いのがネックですが、ダバオやバコロド、イロイロなどの地方都市なら治安もまずまずで移住先としても人気が高いです。物価もマニラやセブに比べれば安く、年配の日本人男性も多く住んでいます」(同)
あと、穴場としてカンボジアも老後の移住先として近年注目を集めているそうだ。
「首都のプノンペンをはじめ、アンコールワットで有名なシェムリアップ、海沿いのリゾートのシアヌークビルは日本人にも人気です。物価はタイの地方都市レベルですが、カンボジアは銀行金利が高く、定期預金なら年利が5%前後つきます。そのため、退職金などある程度まとまったお金を貯金しておけば、目減りさせずに生活することもできます」(同)
さすがに大病を患ってしまった場合は帰国もやむを得ないだろうが、期間限定で優雅に海外リタイア暮らしを満喫するというのも案外悪くなさそうだ。
(高島昌俊)
*写真はダバオのビーチ