危機管理学部のある日大・田中英寿理事長宅にガサが入る危機管理不足

 生徒数7万人を超える日本一のマンモス大学のトップにとうとう捜査の手が入った。9月8日、東京地検特捜部は日本大学の附属病院建設を巡って大学関係者が大学に損害を与えた疑いがあるとして、日大本部や関連会社の株式会社日本大学事業部、田中英寿理事長宅などに家宅捜索を行ったのだ。

「家宅捜索はその他、大阪の医療法人、田中理事長の側近とされる日大理事、東京・阿佐ヶ谷のちゃんこ料理屋にも及びました。容疑を簡単にまとめれば、東京・板橋の附属病院の建て替え工事に当たり、都内の設計事務所に設計監理を20億円超で発注しましたが、いったん大阪の医療法人に2億円を支払う形で間に挟んで、最終的には事業部に1億円を還流させたという背任容疑です。これを主導したと見られているのが先の理事。理事は日大アメフト部OBで、日大で3年前にアメフト部で悪質タックル問題が起こったことで有名になった内田正人氏の2年後輩です。内田・元監督はこの問題の責任を問われる形で大学を去りましたが、今回はこの理事が問題になっているというわけです」(捜査関係者)

 またもやアメフト部関係で問題が発生したわけだが、ところでなぜちゃんこ屋が家宅捜索の対象になっているのか。

「田中理事長は日大相撲部出身で、アマ相撲では横綱として34ものタイトルを取ったアマ相撲の実力者。あの舞の海を育て上げたことでも知られています。そしてこのちゃんこ屋は田中理事長の奥さんが経営する店で、田中理事長が08年から13年もの長期にわたって日大トップに君臨して公私混同が指摘されてきた日大では、大学内で出世をするにはこの店にせっせと通う必要があるんです。その象徴的人物がかつて大学内でNO.2だった内田元監督で、2人を支えていたのが先の理事だったんです」(前出・関係者)

 ところで今回抜かれた金は2億円で、その程度の金額なら本来なら警視庁が動けば済む話。ところが今回は特捜部が動いたとあって、単なる背任では終わらずに先があるのではないかという話もあれば、とにかくガサをかければ何か出てくるだろうという見切り発車ではないかという説もある。

 日大では16年に創立130周年事業の柱として28年ぶりとなる新学部を設立している。スポーツ学部と危機管理学部なのだが、スポーツ関連での不祥事が絶えない上に、大学本体の危機管理が足りないというのだから、なんとも皮肉なものだ。

(猫間滋)

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