年間販売でついに1000万台を突破!「チェキ」が売れ続ける理由

 スマートフォンのカメラが急速な高性能化を遂げるのと共に、カメラ市場は深刻な不況に喘いでいる。そうした中、富士フイルムのインスタントカメラ「チェキ」が、2018年4月から2019年3月までの期間に売り上げで1002万台を売り上げ、初の1000万台突破となった。
 
「1998年に発売された『チェキ』は2000年に第一次ブームを迎えると、02年には約100万台が売れました。しかし、03年頃からカメラ付き携帯電話が爆発的に普及した煽りを受け、人気が減速。04年から06年は年間10万台程度しか売れなくなり、社内では販売中止案もたびたび出ていたそうです」(経済誌記者)

 そんなチェキの窮地を救ったのが、“韓流ドラマ”。07年に韓国で放送された恋愛ドラマの中で「チェキ」が小道具として使用されるや、韓国内で人気が沸騰。これを受け富士フイルムはアジア圏でのプロモーション活動を積極的に行い、11年には第二次ブームが到来し、再び年間100万台の販売に成功したのだ。
 
「14年頃からは、それまでにないほど急速に売り上げを伸ばしていきます。その要因は、インスタグラムの存在。少々凝ったインスタ画像を作る際に『チェキ』を使うことが若者層を中心に広がり、スマホで撮影したものをワイヤレスで出力できる商品も投入され、相性のよさが受けました。歌手のテイラー・スウィフトとコラボするや欧米での若者人気も高まり、ついに現在の状況までこぎつけたのです」(同)

 世代を超えて受け入れられる「チェキ」の今後の進化が見ものだ。

(小林洋三)

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