誤訳!? 辻仁成がサッカー仏代表の「日本人差別」騒動を仲裁か

 WOWOWの深夜生中継だけじゃなく、昼夜オンデマンドでも見られることで、過去の大会よりも視聴者が一気に増えたというサッカー欧州選手権(EURO2020)。観客のコロナクラスターも話題の本大会にフランス代表の主力として出場している人気選手、スペインリーグのFCバルセロナに所属するアントワヌ・グリーズマンとウスマン・デンベレが日本人差別発言をしていたとして、一時トレンド1位になるほどの話題に。日本でも人気のある選手だったことから、ショックの声が大きい。

 事が起こったのは2年前の夏。バルセロナのプレシーズンツアーで来日した2人は、宿舎ホテルでPES(欧州版のサッカーゲーム)に興じることに。でも、その言語設定がうまくいかず、解決してもらおうと日本人スタッフを呼んだまではいいものの、なかなか解決しない状況を動画撮影。その際に日本人スタッフの顔や言語、そして日本に対しても蔑むような会話をしたとして、今回の騒動に発展してしまったようだ。

「設定を英語にするようお願いしたそうですが、ホテルの従業員が解決できず、ついには支配人のような人までやって来て全員で悩みこんでしまった。動画を撮影したのはデンベレ選手のようですが、彼らが話す言葉はフランス語。そこで悪戦苦闘する従業員らの顔などを罵ってしまったというわけです。その中身は、醜い顔やら、そんな顔で恥ずかしくないのか、さらには日本の技術力を蔑むような会話だったとのこと。それが事実なら本当にひどい話で、ネット上でも『フランスは本当に差別だらけ』『グリーズマン好きだったのに大嫌いになった』『二度と日本に来るな!』と報道を受けて猛批判が集まりました」(スポーツライター)

 ところが、その差別報道に疑問を呈した日本人が登場。これがさらなる議論を生んでしまったとか。その人物とは、フランス在住の作家でミュージシャン、さらにサッカーファンでもある辻仁成氏だ。

「辻さんも報道を見てまずは怒りを感じたそうです。でも、その後に本当に彼らの発言が差別目的だったのかを動画から検証した。すると、一番に問題になっている『醜い顔』という表現は、日本の若者が最近よく使う”クソ”のようなスラングで、設定がうまくいかず悩むスタッフたちに『たかだかPSEのために、なんでそんな酷い顔しなきゃいけないの?』『これぐらいのことで悲痛な顔しないでよ』といったニュアンスだと言うんです。また『恥ずかしくないの?』という言葉も、そんな言語設定ぐらいできないの?という意味と取れるそうですね。その流れで、日本ってほんとに先進国なの?といった類の言葉に繋がったという解釈。つまり、フランスでは若者たちがよく使う少し汚い言葉でふざけあってるだけというわけです。そんなことから、完全に差別表現だと決めてかかっている日本の人たちに、ちょっと冷静になってほしいという必死の仲裁という感じでした」(前出・スポーツライター)

 事実、フランス本国ではほとんど話題になっていないらしく、若者2人がスラングまじりで毒づいているだけと思われているのだとか。辻氏の周囲の若いスタッフいわく、本当に蔑むつもりならもっと酷い言葉を使うのだとか。とはいえ、褒められた言動ではなかった2人の有名選手には「何でも動画なんか撮るんじゃないよ」「今は何でも差別になるから(有名人なら)言葉に注意すべき」など本国のSNSでも苦言があるとか。

 とはいえ、まだ非難の声が止まないのは本人たちが何のコメントもしていないから。誤訳なら誤訳で、公式に発言してファンを安心させてあげるのもスターの義務かも。なぜなら、今回の報道に怒った日本人から、2人の容姿への誹謗中傷コメントまで投稿されているから。差別が差別を生むほど悲しいことはないはずだ。

(飯野さつき)

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