和製ベーブ・ルースの快進撃が止まらない。打っては雄大豪壮なアーチを連発、投げては快刀乱麻の奪三振ショー。実況アナウンスも「オオタニサン」と敬意を表する二刀流のサムライは、アメリカ全土にドル紙幣の雨を降らせていた。激レアグッズを巡る闇の攻防と現地の狂騒をありのままにお届けする。
異次元の才能が全米をトリコにした。6月22日(日本時間、以下同)、エンゼルス・大谷翔平(26)が、新人時代の18年9月以来となる3度目のア・リーグ週間MVPを獲得。選考期間の7試合で放った8安打中、6本がホームランという驚異的な活躍を見せた。MLB評論家の友成那智氏が興奮気味に語る。
「昨年、打率1割9分、7本塁打に沈んだ大谷とは別人ですよ。今季から取り組んだアッパースイングが大成功でした。打率を度外視した一発狙いのスイングですが、きちんとグリップを残している。そのため、変化球でタイミングを崩されても、しっかり振り抜いてスタンドまで飛ばしてしまう。このまま、04年に松井秀喜が残した31本の日本人大リーガー本塁打記録でさえ通過点にして、本塁打を量産していくでしょう」
ブルージェイズ・ゲレーロJr.(22)らを向こうに回してホームラン王争い。昨年の大スランプとは打って変わり、今やメジャー屈指の長距離砲の仲間入りを果たした。
昨年とひと味違うのは打撃だけではない。今年は投手としても一皮むけている。6月18日のタイガース戦に「2番・投手」で先発出場。6回1失点5三振の好投で3勝目を挙げ、戴冠に華を添えた。
在米スポーツライターは「高めの160キロ直球と低めのスプリットをゴリ押しするスタイルから脱皮した」と指摘して、こう絶賛する。
「これまで、あまり投げてこなかったスライダーが全投球の40%以上を占めていました。曲がりの大きい120キロ後半~130キロ前半のボールに不意をつかれた相手チームは、最後まで攻略できませんでした。今年の大谷には、コンディションによって投球スタイルを変える器用さがあります」
続く6月24日のジャイアンツ戦では勝ち星こそ逃したが、6回1失点9三振の奪三振ショーを披露。規定投球回未到達ながら、「二刀流」としての存在感を日増しに高めている。そしてシーズン半ばにもかかわらず、日本人未踏の栄冠に期待の声が上がっている。
「少し気が早いかもしれませんが、ア・リーグの年間MVP獲得です。ケガさえしなければ、大谷かゲレーロJr.のいずれかに絞られると思います。MVPの指標である『WAR』の数値で比べてみると、ゲレーロJr.よりも打者+投手の大谷の方が一歩リードしている」(友成氏)
年間MVPとなれば、再来年に控える契約更改で長期契約を結ぶのは確実なようで、
「『10年300億円』は堅い数字です。残念ながら、コロナの影響で球団の経営状況が悪化している。19年に同僚のトラウトが手にした『12年470億円』ほどの金額は望めないでしょう」(友成氏)
それでも日に日に、大谷の株価は暴騰中なのだ。