各国の選手団やメディア関係者が続々と来日し、開幕までいよいよ秒読み段階となった東京五輪。そんな中、大会期間中を地方で過ごす「五輪疎開」が注目を集めている。
「この造語自体はコロナの流行が始まる前からありましたが、当初は五輪による喧騒を避けて静かな場所で過ごしたい少数の人たちが考えているものに過ぎませんでした。ところが、今は感染リスクを避けたいとの理由から東京脱出を計画している人が増えています」
そう語るのは五輪問題の取材を続けるジャーナリスト。東京都の新型コロナの新規感染者数はリバウンドの兆候を見せており、第5波の到来が懸念されている。ワクチン接種は飛躍的に進んでいるとはいうものの、集団免疫の獲得にはまだかなりの時間を要する見込みだ。
「オリ・パラで日本に入国予定の選手と関係者の数は約9万人。内閣官房の発表によると、先日のウガンダ選手団の2人をはじめ、2月と5月にも特例で入国した大会関係者が感染しており、その数を合わせると6月25日時点で6人。今はまだこの程度ですが入国ラッシュが始まれば感染者も確実に増えます」(同)
最近は感染力が2倍といわれる変異種のデルタ株が海外で猛威を振るい、再びロックダウンとなった国もあるなど規制緩和ムードに暗雲が垂れ込めている。日本でもこのデルタ株に加え、新変異種のデルタプラス株も確認されており、海外からの入国者が増えることで今後国内で爆発的に感染が広がるシナリオは素人でも容易に想像できる。
「ただし、五輪疎開したくてもそれができるのはテレワークに対応できる企業に務め、経済的にも余裕のある限られた人たち。しかし、自分が感染しても気がつかないまま越境した結果、地方での感染が拡大するのは昨年のGO TO トラベルキャンペーンで証明済みです」(同)
特に今年は7月22日からは4連休で、8月にはお盆休みが控えている。旅行や帰省という名目で短期間の五輪疎開を計画している人も多く、昨年のような自粛ムードはない。
五輪開催と五輪疎開によって日本中でデルタ株拡散なんて事態にならなければいいが…。