「リモートで生産性落ちた」が8割!ポストコロナの働き方意識に変化

「1日100万回」のワクチン接種が果たして達成できているのかどうかはわからないが、オリンピック開催に向けて後戻りのできない対コロナで、“科学的根拠”に乏しいままただひた走っている日本の現状。

 一方、ワクチン接種がかなり進んでコロナの脅威を脱しつつあるアメリカでは、“日常”への回帰がどんどん進んでいる。だから、ニューノーマルとオールドノーマルの食い違いが各所で噴出するようで…。

 アップルのティム・クックCEOが世界各国の従業員13万7000人に対し、9月からオフィスに復帰するようお達しを出したところ、約80人の社員がニューノーマルの“常識”に反するとこれに不満を感じ、クック宛てに公開書簡を送って抗議しているという。

「今回のお達しも、週に3日は出社して、2日はリモートワークなどで出社不要というハイブリッド型の勤務形態を命じるものでしたが、それでも反発が起こりました。コロナ禍にあっては企業社会も『そもそも働くとはどういうこと』という働き方の観念を問われ、『出社は果たして必要か』という問いを迫られました。そんな中、ツイッターやスポティファイでは『恒久的な』リモートワークを導入。それで生産性が低下したという根拠は特にありません。だから、アップルの社員が『なんで彼らは出社しなくてよくて自分たちは出社しなければいけないんだ。生産性が下がったわけでもないのに』と不満を持つのも理解できます」(経済ジャーナリスト)

 出社はかなりのストレスを伴うものだ。そこでコロナ禍で「出社不要」という壮大な社会実験を強いられ、業種によっては出社せずとも会社は回るということが証明された。アメリカのある調査では、40%近くの社員がリモートを選択できなければ退社も辞さないという結果すら出ている。

 自由を愛するアメリカ人なら、出社のストレスを回避したいと思うのは自然なことだろう。ところが我が日本では、いささか事情は異なるようだ。

「花王が4月に公表したデータによれば、コロナ後にも在宅・リモート・時差出勤などのニューノーマルな働き方をしたいと考えた人は、男性14%、女性23%でだいぶ低い数字になっています。同社が12月に発表した似た趣旨の調査では、約7割の人が在宅に好意的なものでした。同社以外に昨年に行われた各種調査でも、非出社に概ね好意的な数字が出ていましたが、今はマインドが変わっていると思われます」(前出・ジャーナリスト)

 2月に経産省が公表したデータでは、日本人の82%もの人がリモートで仕事の生産性が低下したと評価している。かたやアメリカでは、43.5%と約半数の人が「オフィス勤務と一緒」としているのとは好対照だ。

「和を以て貴しとなす」。日本人のDNAということか。

(猫間滋)

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