阪神「ホンマに優勝してまう!」秘密のベンチ裏(2)佐藤輝明の評価が一変

 何はともあれ、最大のサプライズとなったのが、超大型ルーキー・佐藤輝の「完全覚醒」だろう。

 開幕当初は打率1割台と振るわなかったが、すぐにアジャストし、新人打撃記録を塗り替える勢いで本塁打、打点を量産。主砲の大山悠輔(26)が一時的に戦列を離れても4番・サードを任され、5月2日の広島戦では逆転満塁弾を放つなど、フィーバーは収まりそうにない。キャンプを取材した在阪テレビ局のトラ番記者が手放しでホメまくる。

「キャンプ初日の練習を見たOBや関係者からは『アレはアカン。振り回してるだけや』と総スカンに近い評価やったんですよ。でも全員、2日目の練習を見て目の色を変えましたわ。前日は力任せの大振りに終始してたんが、見事なコンパクトスイングに変化しとったんです。他にも、左打者に不利な甲子園の浜風を意識して、逆方向に強い打球を打つ練習をしたり、非常に頭のいい選手ですわ」

 よく指摘されるが、その新人らしからぬ強心臓ぶりにも周囲は驚かされている。

「三振してベンチに戻っても、ケロッとしてますわ。ある大物OBからバッティングフォームを『このままじゃダメになる』と言われた時も、『気にしませんから』と笑い飛ばして完全無視やから。でも必要なアドバイスに耳を貸さないわけやなくて、先輩やコーチ陣との関係は良好や。前からいたみたいに溶け込んでな、クヨクヨしない前向きな性格に引っ張られて、チーム全体が明るくなってますよ」(トラ番記者)

 自身も阪神で09年から11年まで監督を務めた、球団OBの真弓明信氏も、佐藤輝の活躍に目を細める。

「正直、ここまでの逸材だとは‥‥。上位打線が好調で、主にプレッシャーの薄い6番で使えたことや、前後には得点圏打率の高いサンズ(33)や梅野隆太郎(29)がいて勝負を避けられない状況が多かったことも、徐々にプロの投手に適応できるようになった要因でしょう。何よりチームが勝っているから、打てなかった時期でも『ホームランは出ているし、のびのびやればいい』とベンチも鷹揚だったし、本人にとっても深刻にならずに済んだ。それが大きいですね」

 野手ではさらに、ドラフト6位ルーキー・中野拓夢(24)までもが台頭。打率3割越えの恐怖の8番打者として、5月4日には佐藤とともに球団49年ぶりとなる「新人アベック弾」も記録した。トラ番記者が気勢をあげる。

「佐藤と中野がパズルのピースみたいにピタッとハマりよって、1番から8番までの打順が固定できた。好調だからいじる必要がないし、矢野監督の悪癖やった〝迷采配〟が入り込む余地がないんですわ(笑)。登録抹消した大山もすぐに戻ってくるやろし、このまま優勝一直線ちゃいますか」

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