「35股男」は氷山の一角、イマドキ女子がマッチングアプリにハマる危険度

「35人と同時交際の男性が詐欺容疑で逮捕される」

 そんな目を疑うような見出しの記事が4月末に報じられた。この35股男(39歳、住居不定・アルバイト)は、誕生日を偽ってプレゼントと称し、電子マネーやスーツなど総額10万円相当を騙し取った疑いがもたれている。

 男は主にマッチングアプリを介して犯行に及んでいたとみられているが、ここで驚くべきデータがある。2020年に「MMD研究所」が780人の女性を対象に実施したアンケート(マッチングサービス・アプリの利用実態調査)によると、マッチングアプリを「現在利用している」「過去に利用していた」と回答した女性が56.4%にも達した。実に6割近くの女性が利用経験があるのだ。

 その理由をIT業界に精通した心理カウンセラーはこう解説する。

「まずは、コロナによる巣篭もり需要や男女の出会いの減少などによって、利用者が急増していることが挙げられます。また〝手軽さ〟も大きなメリットの一つ。多くのマッチングアプリでは、男性の利用が有料なのに対して女性は無料となっているため、女性は手軽に始めることができます。さらにマッチングアプリは〝リスクヘッジ〟もしやすい。メッセージの段階で会話が合わなかったり、ヤリモクや詐欺だと思えば、会う前に切ってしまえばいいだけですからね。そして、マッチングアプリは女性の立場のほうが完全優位。男女の傾向の違いとして、男性は誰構わず不特定多数の女性との出会いを求めるのに対して、女性は倍率の高い少数の高スペック男性に群がるものです。そのため、多くの男性は女性から相手にされず、逆に女性は男性から好意の通知がたくさん届くという女性優位の構図が出来上がります。その〝快感〟の虜になってしまう女性は多いのでしょう」

 しかし、こうした快感を得るにあたっては危険も伴うようだ。前出の心理カウンセラーは「自分に自信が持てない。誰かにわかってほしい。愛してほしい。そんな女性の心の弱さにつけ込むように言葉巧みに近づいてきて、金銭を要求してくる男性もいるので注意が必要」と警鐘を鳴らす。

 都内のピンク店で働く宮崎サキさん(仮名、23歳)もそんな経験をした一人。昨年、マッチングアプリを介して出会った男性に多額の金銭を支払ったという。

「昨年、コロナで店の仕事が激減し、パパ活で稼ごうとマッチングアプリを始めたところ、その男性と出会いました。31歳の彼は若くしてコンサル会社を立ち上げ、自信に満ち溢れていて、忙しい中でも毎日マメに連絡をくれるような人でした。どんなときでも私の味方でいてくれて、褒めてくれて、時には自分のためを思って叱ってくれる。数回目のデートの後に肉体関係を持ち、ベッドで『事業があとちょっとでうまくいくのに40万円足りない……』と悩みを打ち明けてくれました。いたたまれなくなった私は彼にお金を預けましたが、その後音信不通に。でも、特に被害届とかは出していませんし、面倒事にするつもりもありません。何か事情があって連絡できなくなったのかもしれませんし、支払った額もたった40万円ですからね」

 手軽にまやかしの快感を得られるがゆえに、多くの女性が利用しているマッチングアプリ。「悪意」を見抜ける自信のない人は近づかないほうが賢明だ。

(橋爪けいすけ)

*写真はイメージです

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