昨年8月に行った会見で「ウソみたいな本当の話をしたい」として、殺菌効果のある成分ポビドンヨードを含むうがい薬を使うと「新型コロナ陽性者が減っていくのではないかという研究結果が出た」と発表した大阪府の吉村洋文知事。
だが、医学的な裏付けである「検体」が、わずか40例だったことで、翌日には「誤解がある。予防薬でも治療薬でもない」と発言を一転。府民から大ひんしゅくを買ったことは記憶に新しい。全国紙社会部記者が語る。
「イソジンなど、ポビドンヨードを含むうがい薬に殺菌効果があるのは昔から知られる話ですが、それが新型コロナウイルスに有効だという論文はどこにもありませんからね。しかも、研究者でもない知事が発言すること事態おかしな話。案の定、この発言があった瞬間、薬局からうがい薬が消え、転売が多発してしまった。慌てて訂正したものの、しばらくは『イソジン吉村』と揶揄される日が続いたことは言うまでもありません」
そんな吉村知事が4月25日、フジテレビ系「Mr.サンデー」(日曜後)に出演。再度「うがい薬」について問われ、「第2次研究が進行中です。現状、数百検体の採取を終了し、研究内容も精緻なものにして解析の最中と研究者から報告を受けている」と語ったことで、再び波紋が広がっている。
発言を受けSNS上では《明らかな有意差が出てそれなりの論文になればの話でしょ。次は、三流論文でこんな事言われています程度の発表では困りますよ》《2次研究って、まだうがい薬に期待してたの?期待させて、出来ませんでしたじゃ辛いよ》といったコメントが並び、さらには《研究者の真似事はいいからさ。はっきりしてから研究者本人に発表させて。素人知事通す必要も大阪府の手柄のようにする必要もなし》といった辛辣なコメントも。
前出の社会部記者が語る。
「前回の会見を受け、複数の医療団体が抗議声明を出す一方で、タレントの松本人志は『吉村さんには、これに懲りずにどんどん次から次へといろんなアイデアを出して欲しい。みんなが叩くと、どんどんいろんなお偉いさんたちが萎縮してしまうので』と援護射撃したり、高須克也高須クリニック院長も『マスクを推奨するのとイソジンのうがいを推奨するのと何が違う?』とツイッターで吉村知事の発言をフォローしました。ただ、やはり、医学の世界で論文がないということは、事実がないも同然。前回のこともあり、今回はさすがに具体的な研究内容に触れることはありませんでしたが、口の悪い野党関係者の間からは『なんだか、どんどん進次郎臭が酷くなるねぇ〜』なんて陰口も聞かれるようになりましたからね。吉村知事が頑張っているのはわかりますが、出口が見えない今だからこそ、軽はずみな発言には注意していただきたいものですね」
吉村知事としても、まさか小泉大臣を引き合いに出されるとは、思ってもいなかっただろうが、ともあれ、口は禍の元。この騒動で、改めてその一挙手一投足が注目されていることを再確認したことは間違いないだろう。
(灯倫太郎)