いまや名司会者!「白い悪魔」東野幸治を生み出した家庭環境がすごすぎる

 2011年に島田紳助氏が芸能界を引退すると、所属していた吉本興業のアラフォー・アラフィフ芸人のあいだで、壮絶なポスト争いが展開された。その座に収まったのは、いまや名司会者として名高い東野幸治や今田耕司、フットボールアワー・後藤輝基らだ。

 東野は、ダウンタウン・松本人志との「ワイドナショー」(フジテレビ系)や関西ローカルの「お笑いワイドショー マルコポロリ!」(関西テレビほか)で見せるMCが高く評価されている。主張より進行を重んじる話術がウケ、引く手あまただ。

 芸歴は36年ほどで、現在53歳。バツイチ。再婚相手は、01年に離婚した5歳年下の元社長令嬢。出戻り婚だ。24歳で結婚したときはファンだったが、2人の娘に恵まれ、マイホームを購入した2年後に別れを切り出したのは嫁のほう。しかし、3年後に同居を再開して、11年に再び籍を入れた。

 紳助氏が退いたことでチャンスが回ってきた番組に、「行列のできる法律相談所」(日本テレビ系)がある。感情を表に出さず、心の奥底を見せないことから“冷徹”のレッテルを貼られ、かつては”白い悪魔”とも呼ばれたが、それも彼の芸当だ。

 そんな東野は複雑な家庭環境ではぐぐまれ、波乱万丈の人生を歩んできた。

 東野の父は、実の両親の顔を知らずに育った。育児をできないと判じた両親によって、里子に出されたからだ。裕福な家庭で養子として育てられ、両親が亡くなった後、遺産分与で1~2軒分の土地を購入。成人したあと、会社員として働くも長くは続かず、家賃収入で生計を立てた。

 やがて、結婚。一家の主となったが、労働経験が乏しく「夫」になれなかったたという。借金でまたたくまに首が回らなくなり、あらゆる金融会社に借り入れ。次男の幸治の友達にまで手を出した。そんなこととは露知らず、二十歳を過ぎて再会した友達に家庭事情を打ち明けると、逆に「言わんとこうと思ったけど、俺もコウボン(東野の呼称)のお父さんに1万円貸してんねや」とカミングアウトされた。「1万円」という金額が、火の車であることを物語っていた。

 母は喫茶店で働いていた。妹の勤務先だった銀行からも融資を受けたが、それも返済せず、やがて離婚。一家は離散した。実家を処分して得た金は、家族で分配。父は1人でマンションを借りたが、またもや家賃を踏み倒して、ついには失踪。

 亡くなる1カ月前、入院先の病院から吉本に連絡が入った。「脳梗塞で倒れて入院していて、誰も見舞いに来ない」という寂しい報告だった。のちに見舞い、父の最期に立ち会った。

 波乱万丈の幼少期を送った東野も昨年、長女が出産。53歳の若さで、初孫に恵まれた。師匠以上の存在であるダウンタウンの松本と浜田雅功、戦友といえる今田よりひと足早くおじいちゃんになっても、タレントとしては平身低頭。還暦までは、もうひと稼ぎしたいそうだ。

(北村ともこ)

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