4月25日投開票の参院広島再選挙に注目が集まっている。保守王国の広島で巻き起こった「政治とカネ」問題を巡り、「ポスト案里」に急浮上したのは、野党統一候補の宮口治子氏(45)だった。ところが、いわくつきの決戦地の磁場が引き寄せるのか、優勢が伝えられる中で疑惑が持ち上がり‥‥。
4月25日には北海道と長野でも衆参補欠選挙が行われるが、広島は少々様相が違う。19年に発覚した河井夫妻の巨額買収事件に端を発し、河井案里氏(47)の有罪確定に伴う当選無効によって実施される「再選挙」だからだ。参院の再選挙は94年の愛知選挙区以来、実に27年ぶりの珍事であり、自民党にはより厳しい目が向けられている。
与野党にとって、広島を制することが天下分け目の戦いとなりそうだが、政治部デスクが言う。
「自民党は北海道で不戦敗、長野でもほぼ負けが決まっているので、決戦といえるのは広島だけです。万が一負けると、与党は2つの危機に直結するでしょう。ひとつは菅政権の崩壊、もうひとつは岸田文雄氏(63)の次期総裁選への挑戦が閉ざされることです」
10月には衆議院が任期満了を迎え、解散総選挙が必ず行われる。両者ともに、9月に行われる自民党総裁選への前哨戦として勢いをつけたいところだ。
「ここで3連敗してしまうと、菅義偉総理(72)で戦えるのかと不安の声が広がるでしょう。政権発足当時の支持率は62%で、現在は44 %(NHK調べ)ですよ。菅下ろしのマグマが地面の下に溜まっている。しかし菅総理は今回、一切広島には応援に行きません。前回、案里氏を応援したことに対するけじめなのでしょうが、実情は、選挙の敗北を岸田氏の責任に転嫁する作戦です」(自民党関係者)
そうなれば先に触れたように、岸田氏の明るい未来図は崩壊する。ジャーナリストの横田一氏が語る。
「広島は宏池会(岸田派)の発祥地であり、牙城です。岸田派の小野寺五典氏(60)は『岸田総理誕生の第一歩の選挙となる』とまで話していました。その広島で勝てなければ、次期総裁選の再チャレンジはなくなるでしょう。広島は今、かつてない地盤変動、逆風が吹き荒れていますから、まさに背水の陣です」
そんな現総理と次期総理候補の政治生命がかかった「スキャンダル再選挙」に野党が送り込んだ統一候補が、KSB瀬戸内海放送キャスターを経て現在はフリーアナウンサーの宮口治子氏(45)だったのである。
「週刊アサヒ芸能」4月29日号より