大谷翔平の「リアル二刀流」を妨げるMLB”新公式球”をめぐる裏事情

「リアル二刀流」はお預けとなった。エンゼルス大谷翔平投手は4月20日(日本時間21日)のレンジャーズ戦では4回を投げて無失点ながら降板。試合に先駆けて、エンゼルスのジョー・マドン監督は「彼を打たせるつもりはない」と、指名打者制を解除しない戦略を打ち明けていた。今季初登板となった4月4日は「2番・投手」で出場している。

「もう一度、観たい!」と日米の野球ファンは楽しみにしていたが、指揮官の慎重さに「ボークの問題が再燃するのではないか?」との声も囁かれていた。

「大谷はマメができやすいので、その影響もあったようです。75球程度で交代させるタイミングを模索するとも話しており、言葉どおり80球で降板させました。無理をさせたくないのでしょう」(在米ライター)

 大谷は日本ハム時代から“マメ体質”で、右手中指の皮が剥け、その後、長く登板間隔を空けることも少なくなかった。「体質だから仕方ない」という意見もあるが、メジャーリーグでは今季から試合公式球を低反発の新しいものに変更している。その影響も指摘されているのだ。

「新公式球ですが、触った感触は旧公式球と同じ。若干、軽くなったようですが、投打ともに気にする選手は今のところ出ていませんが」(同前)

 ボールの保管方法も変わったようだ。

「ホームランか、三振」という大味なゲーム展開を変えるためのボール変更だが、その関連で保管場所も変わった。ロッキーズ、ダイヤモンドバックス、マリナーズなど高地や乾燥地域に本拠地球場を構える球団は、これまでも「保湿保存庫」に公式球を仕舞い、ボールを乾燥をさせないことで“本塁打量産”を防いできた。MLB機構は義務付けていないが、ボールが変更されたのを機にこの保湿保存庫を多くの球団が採り入れた。

 そのため、ピッチャーは、より“おろしたて”のボールを投げている感覚だという。つまり、ボールの縫い目の高さを「昨季以上に感じる」との声もあり、マメのできやすい大谷にも影響を与えているのではないか、と…。

「マメについては、ひと昔前、指を叩いて強くしたとか、入浴中、湯船に指を入れない努力をしたなんて話もあります。どこまで効果があるのか分かりませんが。大谷は薬品をつけたガーゼで患部を保護し、早く治るよう努めています」(ベテラン記者)

 ボールの感触、保管方法について、他投手からも違和感が伝えられれば、MLBも新公式球の扱い方を考えるかもしれない。当面は“おろしたて”の感じがする新球に慣れるしかないようだ。

(スポーツライター・飯山満)

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