テスラ車2人死亡事故で「自動運転機能」に高まる不信と“謎”

「米テキサス州で自動運転中とみられる米テスラ社の電気自動車『モデルS』がカーブを曲がりきれず木に衝突。乗っていた男性2人が死亡する事故が発生しました。これを受け同社の自動運転機能に対する不信感が強まっており、テスラ株が急落する事態に発展しているのです」(経済ジャーナリスト)

 事故は4月17日の深夜に発生。テキサス州ハリス郡当局のマーク・ハーマン保安官によれば、車両は猛スピードで走行していたが、死亡した一人は助手席、もう一人は後部座席で発見されており、運転席は不在の状況にあったという。このことから、モデルSは自動運転機能「オートパイロット」で走行していたと見られている。

 しかし、テスラ社のイーロン・マスクCEOは20日、ツイッターのフォロワーに返信する形で「これまでに回収された事故データではオートパイロットは有効になっておらず、この車がFSD(完全自動運転システム)を搭載していなかったことを示している」と事故と自動運転機能は無関係であることを強調している。

「まだ事故の詳細な調査結果が出ていないので事実関係は不明ですが、テスラに対する不信感は日に日に高まっています。というのも、3月12日に米自動車メディア『Car and Driver』などが、テスラ社がカリフォルニア州の車両管理局に完全自動運転を謳っているFSDについて『現時点では完全な自動運転機能がない』と説明しており、同局が調査したところFSDは自動運転レベル2(部分運転自動化)の機能しかなかったとも報じられているのです。なお、イーロンは昨年7月のインタビューでFSDが自動運転レベル5にかなり近づいていると語っていました。今回の事故車がFSDを搭載していたかどうかも不明ではありますが、搭載していたとしても完全自動運転は実現できておらず、事故を招いた原因になった可能性は十分にあります」(モータージャーナリスト)

 なお、アメリカでも公道での完全自動運転は認められておらず、ドライバーは運転席でハンドルに手を添える義務がある。また、テスラ社のオートパイロット機能はハンドルから10秒以上手を離すと自動で解除されるシステムになっているというが、果たして何が起こったのか。

(小林洋三)

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